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第96話『人知れず、旅立とうとしていた』

 

 ■草原と平穏の国:孤児院

 

【赤髭男】「!?」

【老院長】「おや? こんな朝早くどうなさったかな?」

【赤髭男】「いえ、少し散歩に……」

【老院長】「ふむ、散歩というには、装いがまるで旅人のように見えるがの」

【赤髭男】「老院長殿こそ、なぜこんな時間に?」

【老院長】「年寄りの朝は早いものじゃよ。それに少々胸騒ぎがしての、まぁ、原因は悪くもなく良くもなく、といったところじゃ」

【赤髭男】「…………」

【老院長】「少し待っておれ……」

【赤髭男】「?」

 

 

【老院長】「……ん、待たせたの(手に持っていた包みを渡す」

【赤髭男】「(包みを解く)これは……」

 

SE(抜剣する音):チャキ……

 

【赤髭男】「……剣? 使われている素材がこれだけの質ならば、決して安物ではない?」

【老院長】「儂が以前使っていたもんじゃ。餞別せんべつにやるから、持ってくがよい」

【赤髭男】「こんな高価なものを、もらう理由がない」

【老院長】「それなら、何時か返しに来なさい。それまで預けるだけ、ということでどうじゃ?」

【赤髭男】「老院長殿……ワタシがどこに行くのか、ご存知なのですか?」

【老院長】「いいや、知らん」

【赤髭男】「なら、なぜ、これをワタシに……」

【老院長】「お主は剣士じゃろう? 手を見れば分かる。剣を持たぬ剣士ほど見苦しいものはない、と思っただけじゃ。以前のお主に剣は必要なかった、しかし、今のお主は剣を必要としている。儂の見当違いかの?」

【赤髭男】「いえ……」

【老院長】「ああ、そうだ。何か猫ミミちゃんに伝えることはあるかの?」

【赤髭男】「……それなら、ワタシはまだ生きていて良かったようだ、と」

【老院長】「ふむ、伝えておく。では、達者での」

【赤髭男】「……では(ぺこり」

 

 

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