第92話『人と人は、どこかで繋がっていた』
■草原と平穏の国:孤児院
【男主人】「初めまして、老院長殿。うちの猫ミミがお世話になっているようで」
【老院長】「いやいや、なんの、うちの方こそ猫ミミちゃんにお世話になりっぱなしじゃ」
【男主人】「ここは活気があって、良い孤児院ですね」
【老院長】「まぁ、しかし、孤児院に活気なんぞないほうが世の中は平和なのじゃがのう」
【男主人】「それは確かに仰るとおりです。ところで、赤髭男さんと言うのは?」
【老院長】「奥にある個室で待っておる。ああ、それと、男主人殿と余人を交えず、2人だけで話したいそうじゃが、よろしいか?」
【男主人】「ええ、その赤髭男さんが、どのような方かは分かりませんが、僕の方に問題ありません」
【老院長】「この廊下の突き当りの部屋じゃ」
【男主人】「では、失礼します……」
SE(扉の開閉音):ガチャ、ギィ、バタン
【男主人】「!!!!」
【赤髭男】「お久しぶりですね、男主人殿。……安心して下さい、今のワタシにアナタたちへの害意はありません」
【男主人】「その言葉を信じろと?」
【赤髭男】「できれば、信じて欲しいです。……その上で、ワタシと取引して頂きたい」
【男主人】「取引?」
【赤髭男】「男主人殿が知りたいことを、ワタシが知っている範囲で全てお話します」
【男主人】「……求める見返りは?」
【赤髭男】「ワタシが、“赤髭男”であることの証明が欲しい」
【男主人】「つまりは……アナタの過去を全て無かったことにして欲しい、という意味かな?」
【赤髭男】「そのような解釈で間違いありません」
【男主人】「では、僕は貴方のことを信じましょう」
【赤髭男】「!? 本当ですか?」
【男主人】「嘘かもしれませんよ? しかし、ここでお互いを疑い続けていても、何の進展にはなりません。仮に貴方の情報が罠だとしても、その事実を情報として事態を推し進めるだけです。
それに……ずいぶんと顔つきが変わりましたね。今の貴方なら話をしてもいい、そんな気分になっただけです。悪領主殿」