第91話『猫ミミちゃんに、お願いされていた』
■草原と平穏の国:男主人邸
【猫ミミ】「ねぇ、ご主人さま……」
【男主人】「ん? 猫ミミ、どうした?」
【猫ミミ】「ご主人さま、明日はお休みだよね?」
【男主人】「そうだけど、どこかに遊びに行くとかはちょっと無理かな」
【猫ミミ】「えっと、遊びじゃなくてね。その……あたしと一緒に行って欲しい所があるの」
【男主人】「行って欲しい所?」
【猫ミミ】「うん、ご主人さまに会いたいって言う人がいるんだ」
【男主人】「僕に? どこまで連れて行くつもりなのかな?」
【猫ミミ】「えっと……下町の孤児院なんだけど……」
【男主人】「ああ、猫ミミがお世話になっている孤児院ね」
【猫ミミ】「えっ? ご主人さま知ってたの!?」
【男主人】「あ、え~と、長ミミにちょっと聞いててね。僕もいずれ挨拶に行こうと思ってたんだけど……明日じゃないとダメなのかな?」
【猫ミミ】「うー……できれば、早く会いたいって言ってた」
【男主人】「僕に会いたい人ってその孤児院の院長とか?」
【猫ミミ】「ううん、赤髭男さんって言う人なんだけど……」
【男主人】「赤髭男……赤髭男ねぇ? 僕の知り合いにはいないから、向こうが一方的に僕のことを知っているんだろうけど。猫ミミは何か聞いてる?」
【猫ミミ】「ううん、知らない。あたしには教えられないことなんだって……」
【男主人】「一体どういう理由があって、僕に会いたいんだろう。その人って、孤児院の人?」
【猫ミミ】「下町の路地裏で倒れていた所を、孤児院のみんなで助けたの。それから、孤児院のお手伝いとかをしてくれてて、とっても頼りにされてるんだよ」
【男主人】「倒れていた?」
【猫ミミ】「うん、最初会った時はね」
【男主人】「そんな危ない。もし、その時倒れていたのが悪い人だったらどうなると思う?」
【猫ミミ】「でも……悪い人そうじゃなかったんだよ。えっと、雰囲気がご主人様とちょっと似てるかな?」
【男主人】「僕に?」
【猫ミミ】「うん、長ミミさんとお喋りして静かになった時のご主人様にそっくりなんだよ!」
【男主人】「…………」