~幕間~『従姉妹1』
■森林と調和の国:氏族長宅
【幼ミミ】「…………あれ?」
【???】「目が覚めましたか」
【幼ミミ】「っ!! 魔術師さんと師団長さんはっ!?」
【???】「幼ミミちゃんが泣き疲れて、眠っているうちに帰られましたよ」
【幼ミミ】「じゃあ、わたしも帰らなきゃ」
【???】「どこへ?」
【幼ミミ】「もちろん、魔術師さんたちのところだよ」
【???】「それはダメです。今日からこの家が幼ミミちゃんの帰る場所に、幼ミミちゃんと私たちは家族になります。だから、幼ミミちゃんを危険な場所へ行かせるわけには行きません」
【幼ミミ】「なんで? 魔術師さんと一緒にいれば安全だよ?」
【???】「その魔術師殿が私の両親に、幼ミミちゃんを引き取ってもらうように頼まれたのです」
【幼ミミ】「ウソだっ! 魔術師さんは、一緒にいてくれるって言った!!」
【???】「幼ミミちゃんも聞いていたはずですよ。それで盛大に泣いて、魔術師殿を困らせて、疲れ果てて眠ってしまったのです……」
【幼ミミ】「ウソだウソだウソだっ! 一緒に、ずっと、一緒だって……」
【???】「ずっとに一緒にいることと、幼ミミちゃんを大切に思うことは同じではありません」
【幼ミミ】「え……?」
【???】「幼ミミちゃんは、魔術師殿が怪我をしてもいいというのですか?」
【幼ミミ】「それはイヤだよ!」
【???】「なら、魔術師殿も同じ気持ちです。幼ミミちゃんに怪我をして欲しくない、危ない思いをして欲しくないからこそ、幼ミミちゃんがどんなに泣いても、危険な場所に連れて行きたくはないのです」
【幼ミミ】「でも……でも……」
【???】「けれど、寂しい気持ちを感じるのは仕方のないことです。だから、いつか戦争が終わって、平和になったら、魔術師さんたちに会いに行きましょう。私も一緒に付いて行きますから」
【幼ミミ】「あなたは……?」
【???】「まずは自己紹介をしましょうか、私だけ幼ミミちゃんの名前を知っているのは不公平ですから。
初めまして、私の名前は長ミミといいます。
今日から、幼ミミちゃんのお姉さんです」
【幼ミミ】「お姉さん……?」
【長ミミ】「はい、私の方が年上ですから、お姉さんです」