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 例の縁談相手との顔合わせの日がきた。

 当初は両家の屋敷が離れているため、程よい距離の場所を貸し切りって会うことにしていたらしいが、お姉様の安全面を考えると無理だという結論に至ったらしい。

 あれから迷惑男が増えたのだ。どこからか、縁談の話が漏れたらしい。迷惑!

 そんなわけで、相手の家には申し訳ないけど、顔合わせはバイヤール子爵家で行うことになった。



「まあ。クロエ、貴女がそわそわしても意味はないのよ? 少し落ち着きなさい」

「でもお母様、気になって仕方ないんです。遊学していたっていうし、遊び人のような人だったらお姉様を幸せにできないじゃないですか」

「あら、そうかしら? 遊学に出て学者になられる方もいらっしゃるし、お相手の方もそんな方かもしれないわよ。それにお話を聞く限り優しい人のようですしね」


 遊学=見聞を広めるなら確かにそうだろう。でも遊学=文字通りの遊びなら信用出来そうにない。

 確かに話を聞く限りでは、誠実そうな人なんだろうと思うけど、実際会ってみたら違かったなんてことになる可能性だって大いにある。


「宰相様からの紹介だからその心配はないと思うよ。ああ、そろそろ着くころだね。ん? ルイーズ、緊張してるのかい?」

「はい。その……宰相様の顔を立てるためとはいえ、一応は縁談相手ですので」

「今日はただの顔合わせだし、これで決まるわけではないから大丈夫だよ」


 隣を見れば、ガチガチに固まり顔を強張らせているお姉様の姿が。

 まるで、私たちが初めて顔合わせをした時のようなのような姿に、私は思わず笑ってしまった。


「まあ!私が緊張しているのがそんなに楽しいのです!?」

「違いますよ。お姉様の顔が私と初めて会った時と同じ表情だったから、なんだか懐かしくて。でもごめんなさい。ちょっと不謹慎でした」


 素直に謝れば、お姉様は気張っていた力が抜けたのか「懐かしいですわ」と微笑んだ。


「そう、あの時も今日のように、緊張で固まってしまったのでしたわね。

新しいお母様と妹となる人たちがどのような人か、不安で不愛想な態度をとってしまいましたわ。今思えば、失礼極まりないことでしたが」

「でもそのおかげで、お姉様がどんな人か何となくわかったんですよ。ああ、不安なんだなって。だから仲良くするにはどうすればいいのか考えたんです」


 私の考えた結果の末の行動を思い出したのか、私の言葉に目を瞬かせたお姉様はふわりと笑みをこぼした。

 今ので緊張がとけたのか、ガチガチに固まっていた体と雰囲気が和らぐ。

 「妖精の如き麗しの令嬢」や「妖精姫」と言われるだけあり、破壊力は抜群。私は思わず呻き声と共にお姉様に抱き付いた。


「こんなに可愛らしいお姉様を嫌う子息などいないわ!きっと候補者の人もイチコロに決まってる!」

「まあ!クロエったら!」


 いつもは言葉使いや所作の注意をされるけど、今日だけは多めに見てくれるらしい。

 お母様は深くため息をつき、お姉様は照れて笑い返してくれる。お父様も微笑んで見守るだけで、何か言うこともない。

 ああ、本当にこの家族で良かった。もしこの縁談がまとまって、お姉様に婿が来てもこの絆は変わらないと確信できる。

 そんな思いに浸っていると、執事が件の子爵家が来訪したと伝えに来た。




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