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朧月とひとりぼっちの影のおはなし

作者: れむ
掲載日:2026/01/05

ある夜、泣き虫な影のもとに綺麗な月が降りてきました。


月は、忌み嫌われたまっくろな影のことを「綺麗ね」と微笑みました。


歌い踊り、ともに話をし、ともに笑いあい…それはそれは楽しく暮らしました。


しかし、月が地に降りたのはほんの少しの時間でした。


ある晩、月はまたそっと空に浮かびました。


ひとりぼっちになった影は泣きました。


一晩中泣きました。




最初からその灯に近づかなければこの孤独(ひとりぼっち)も知らなかったのに


最初からこの幸せを知らなければ寂しいなんて芽生えなかったはずなのに




その声は夜空に高く響き渡りました。


だけど影は気付きました。


まっくらだったはずの夜が、わずかに淡く光っていることを。




…………それは、影自身でした。


影自身の中で、淡い小さな欠片がまだ灯っているのです


それは、月と過ごした思い出の日々の結晶……月の欠片です。



欠けた部分は戻らない。 月にはもう手は届かない。


けれど、隣にいられなくても隣にいたことは消えません。



ひとりぼっちにはなったけれど、


孤独ではなくなったと、影はようやく気付いたのです。






泣き虫だった影は、もう泣かないと笑いました。


孤独だった影は、初めて友達に名前をあげました。





「さよなら  朧月」






朧月は、今日も美しい夜空に浮かんでいます。



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― 新着の感想 ―
 一人のままでは知らぬままだった悲しみも嬉しさも嬉しさも大きすぎて、一時は泣いたけれど、褒めて付き添ってくれた者が離れる前に残されたものに気付き、ひとまわり成長して自分も輝き始めた影さん。  失った…
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