表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔っ子ミナの魔界冒険譚  作者: minori
第1部 旅立ち編
8/25

第8話 夜の街


セラフィムが去った後、私はアークにこっぴどく怒られた。


「あの状況で声を出したり、立ちあがろうとしたり……馬鹿じゃないの!」


アークの大声につられて、私もエキサイトしてくる。


「は?私が悪いわけ?」


「あいつらがどれだけ危険か、ミナはわかってないんだよ!」


「馬鹿で悪かったわね!そういうあんたこそ馬鹿でしょ!」


「俺のどこが馬鹿なんだ!」


「馬鹿って言う奴が馬鹿なのよ!」


アークはご立腹だった。


「私だって好きでこんなことをしているわけじゃない!」


私はだんだん腹が立って来て、焼けた柱を蹴り飛ばした。


「じゃあ、助けなきゃ良かったのかよ!」


「知らないっ!」


私は、アークとはしばらく口を聞かないことに決めた。


「もう話しかけないで!」


「はあ?……なんで君が怒ってるの?!俺が悪いのか!」


「知らない」


アークは頭を抱え込んだ。


「もういいよ。これからは助けないから、君の好きにしなさい」


アークのその言葉は、私をさらにイラつかせた。


「はあ?別に助けて欲しいって言ってないし!」


私はそう言うと、アークを置いて走りだした。


「おい!どこ行くんだ、ミナ!」


後ろからアークの声が聞こえたけど、私は無視してそのまま走り続けた。


なんだか、しばらくアークとは口を聞きたくなかった。


私は息が切れるまで走り続けた。


それにしてもどこに行けばいいのか……。


勢いで飛び出して来たものの、家も燃えたわけだし、どこにも行く場所などない。


「考えてみたら、私、行くとこないじゃんね……」


両親の故郷も行ったことないし……母さんは悪魔だってわかったから、この世界に実家すらないのだ。


「かと言って、友達の家にも行けない」


訳のわからない魔獣が追って来たら、友達の家が潰されてしまうだろう。そんな危険を犯してまで、友達の家に行くわけにはいかなかった。 


「ホテルに泊まるお金も無いし……」


私は自分のポケットを探ってみたが、小銭が数枚見つかっただけだった。


隠れ家を飛び出したのはマズかったか……。


そう思ったけど、いまさら頭を下げて戻るわけにはいかない。


それにアークの怒った顔や、イラつくセリフを思い出すと、頭に血がのぼって鼻息が荒くなる。


「意地でも戻らないんだから!」


私は、今日は野宿をしてでも、隠れ家へ戻らないと決めた。


とりあえず、コンビニでお水を買って町を歩いていると、2人組の警察官に止められた。


「君……こんな遅くに何をしてるの?」


その警察官は早足で近寄ってくる。私は怖くなって、向こうに両親がいますから!と嘘を言って走り去った。


しばらく走ったその先は、薄暗い路地裏で、怪しげなネオンが光る飲み屋街だった。


私はなんだか危ない場所へ足を踏み入れた気がして、少しだけ後退りする。


するとサングラスをかけた男が現れて、私に声をかけてくる。泊まるところがないのか?それとも腹が減っているのか……と。


私は怖くなって駆け出す。


なんだか涙が出てきた。


「ああ、どうしよう……なんだかとても怖い……」


私は猛烈に後悔をしていた。帰ろう……隠れ家に戻ろうと思った。私はまだ子供なのだ。


その時、急に腕を掴まれて、路地裏へ引き込まれた。


「キャア!」


顔をあげると、そこには、目付きの悪そうな男が3人立っている。


「お嬢さん、叔父さんと一緒に来るといい。温かい食事や今晩泊まる場所が必要だろ?」


男は優しくそう言ったが、私にとって見知らぬ男は恐怖でしかなかった。


「離して下さい!私には行く所があるんです!」


だが、男は手を離さない。


「そう言わないでさ、おいでよ」


私は男の顔を見た。ニヤついた中年男の顔はもう、私にとって恐怖の対象でしかなかった。


「嫌って言ってるでしょ!離してよ!」


私は体を揺すって逃げだそうとしたけど、男は私の手首をがっちりと握って離さない。私が暴れていると、男は私の頬をバシンと叩いた。


「この女!大人を舐めるんじゃねえ!」


私の目の前が涙で滲む。


「ああ、助けてアーク……」


馬鹿だった……やっぱり隠れ家を出るんじゃなかった!


……私がそう思いかけた時、ふと、男の拘束から自由になった。


見上げると、背の高い金髪の男の人が、私の肩を抱きながら立っていた。


「大丈夫?僕の後ろに隠れてて」


彼は西洋風のホリの深い顔をしていて、身長は180センチくらいあった。私の頭が、彼の肩にギリギリ届かないくらいかな。


鼻は高く、二重瞼のクリっとした、青い瞳のイケメンだ。肌は透き通るような白さで、頬はほんのりピンク色をしていた。


「おい兄ちゃん、カッコつけてんじゃねえぞ!」


男が彼の胸ぐらを掴むと、仲間の2人が彼を左右から取り囲んだ。すると次の瞬間、3人の男が視界から消えた。


「えっ?」


一瞬、何が起きたかわからなかったけど、3人は少し奥にあるゴミ箱へと投げ飛ばされていた。


「さあ、逃げるよ」


「あ、うん!」


彼は優しく私の手を掴むと、そのまま路地裏を走っていく。私はドキドキしながら彼の背中を追った。


私は彼と手を繋いで走っている……。

私は少しだけ、その手のひらをギュッと握り返すのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ