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悪魔っ子ミナの魔界冒険譚  作者: minori
第2部 封印の森編
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第17話 影の中の少女

部下を倒されたカンコネルは、それはそれはお怒りのようだった。


私は怒りに震える彼に背を向けて、震えながらそっと逃げ出した。


だが、カンコネルは腕を組みながら私をジッと見つめている……。どうせすぐに追いつくと思っているのだろう。


私は思い切って走り出してみた。振り返ってみると、カンコネルが翼を広げて飛び立とうとしている。


「さあミナ……狩が始まるよ」


一体こいつは何を言ってるのだろうか。私を獲物だと思ってる?


「あなた、もうちょっとそこに居てもいいのよ? えっと、カ、キ、コングだっけ?」


「カンコネルだ!」


「ひいっ! ごめんなさい、カンコネル、まだスタートしなくていいわよ!」


「お前は黙っておくことが出来ないのか? 心の声がだだ漏れじゃないか」


カンコネルは背中の翼を広げた。


「私は人の嫌がることが好きなんだ。ミナがそう言うなら、そろそろ追うとしよう」


「なんて悪趣味なの!」


「馬鹿を言うな、ミナ!相手の嫌がることをすることが、戦略や戦術を考える上で、極めて重要なことなのだぞ」


しばらくいくと右手に大きな木が立っていたので、私はパッと右に飛んで木の幹に隠れた。


すると突然、私の目の前に暴風が吹き荒れて、その大木がスパリと切れた。私を目を丸くしながらその大木を見つめた。


するとその大木は、周りの木を薙ぎ倒しながらゆっくりと倒れて行った。


私は恐怖に震えながら振り返って、カンコネルを見た。


「小娘、こんなもので済むと思うな!」


カンコネルが腕を振ると猛烈な突風が吹いて、バキバキバキッと、木々がまるで紙のように斬り倒され、吹き飛ばされていく。私は頭を下げて、木の根にしがみついた。


「ひいい、なんなの?」


カンコネルは私の前へ降りてくる。さすがは部下を3人も任されるだけあって、纏っている空気が違う。


私の体が震えた。


「小娘め……よくも私の部下たちを……」


カンコネルの声は低く、恐ろしいほど冷たかった。


「こ、降参よ!降参!」


私は両手を上げた。


「降参? 何が降参だ!」


カンコネルが手を振るうと、巨大な風の刃が私に迫る。


「ひいい!」


私は咄嗟にアースウォールを出したが、まるで豆腐のように斬り裂かれた。


「そんな初級土魔法で私の攻撃を防ごうなどと、片腹痛いわ!」


私は両手を振ってストップ!というように、手の平を見せた。


「私、死んじゃうよ!いいの?生きたまま連れて行かなきゃ怒られるわよ!」


必死で訴える私に、カンコネルは冷たく言い放った。


「腕の1本や2本くらい切り落とさなければ気が済まない!」


「ひいい!」


私は走った。


土魔法も効かないとなると、私が出来るのは雷魔法しかない。


「自信はないけどやるしかない!」


私は 振り返ると全力で雷魔法を放った。


「……サンダーボルト!」


だが、コントロールが悪くて明後日の方向へ飛んでいく。


「ああっ……当たらない!」


するとあカンコネル大笑いした。


「お前、なぜその雷魔法が3人の天使に当たったのか、まるでわかってないんだな」


「解ってるわよ、そのくらい!」


「嘘つけ」


するとカンコネルは片腕をあげながら近づいてくる。


「……じっとしてろ、小娘!」


私は逃げようとしたが、一筋の風が吹いて弾き戻された。


「ああっ!風の壁が?!」


「もう逃げられんぞ!両手、両足を斬り落としてやる!」


「嫌っ!」


カンコネルは私の目の前に降り立った。


「じっとしてろミナ! 違う所が切れたらどうするんだ!」


「えええ!違う所ってどこよ!!」


そして、カンコネルが右腕を振り上げた。


「きゃああ!誰か助けて!」


「この状況で誰が、お前を助けられると言うのだ!」


カンコネルの腕が振り下ろされ、巨大な風の刃が生み出された。そしてその刃が私を斬り裂こうとしたその時!


信じられないかもしれないけど、私の影の中から女の子が現れたのだ!


私のお尻の下の影がゆらゆらと蠢いたかと思うと……。


影の中……影の中からよ?!


小さな女の子が浮き上がってきたのよ。そして、浮き上がるままに、私はお姫様だっこされてた。


「しっかり掴まってて!」


すると彼女は私を抱きかかえたまま飛んだ。


「ああああ!ね、ネコ耳??」


私は驚いて彼女を見た。なんとネコ耳黒髪ショートボブの少女なのだ。


彼女の肌は小麦色で、クリッとしたニャンコの目をしていた。服装は横縞の長袖シャツにオーバーオール、そして黒い軍用ブーツを履いていた。


「助けてくれてありがとう……? あなたは?」


すると彼女はニコリと笑った。


「細かい説明は後で!」


するとカンコネルが大声を上げた。


「おのれ!一体どこから現れた!」


カンコネルは怒りの形相で叫び声をあげると、無数の風の刃を飛ばしてきた。


それは通り道にあるすべての木を切断し、吹きとばし、なぎ倒していった。


「ああっ!危ないっ!」


ヒュンヒュンと、風切音が耳元を通り過ぎていき、時折、枝や太い幹なんかも飛んで来る。しかし、その女の子は、私を抱いたまま、その中をクルクルと体操選手みたいに飛び回るのだ。


「すごい……まるで猫みたいね」


枝と枝、幹と幹を飛び回る。その身軽さはもう、人間技じゃなかった。


「あれを避けるだと……?!」


カンコネルが驚愕の声を上げた。


「こうなったら、お前たちまとめてミンチにしてやる!」


するとカンコネルはダンスを舞う様にステップを踏みはじめた。そして両腕を振りながら、私たちに向かって腕を振り下ろした!


「ボイド・サイクロン!」


すると、カンコネルの両腕から、恐ろしい速度で回転する竜巻が発生した。

それは単なる風の渦ではなく、空間そのものを歪め、巻き込まれたものを無へと還す究極の風魔法だ。


中心部が漆黒に見えるほど空気が薄く、光さえも歪んで見える強大な竜巻。周囲の物体が引き寄せられ、渦の中心に近づくほど形を失っていく。


そしてその渦は、木々をなぎ倒し、大地を真っ二つに裂きながら、私の方へと迫ってくる。


私は少女の腕の中で悲鳴を上げた。


「こらカンコネル!私を殺す気なの!」


危険な竜巻が、私の目前に迫っていた。


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