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【連載版】このわたくしの親友を陥れようなんて100万年早いですわ  作者: 春待瑞花


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3

 ダンスを終え、注目される事に疲れたであろうレティシア嬢を出口まで近衛に送らせた。


 有意義な話し合いを終え、軽食を楽しんだアスター卿達の接待も十分だろう。


 レティシア嬢が私の婚約者となる、との決定事項は十分に周知されただろうし、これで娘を売り込んでくる貴族達はだいぶ減っただろうが、探りを入れてくる相手の対応も面倒だ。式典はこれでお開きとするか。


 側を固めたエリオットとドレイクに、アスター卿を見送ると一言告げる。すぐにドレイクが閉会の音楽を流すよう楽団に伝えに行った。

 エリオットとともに来賓席に向かう。


「アスター卿、式典が終了しますので近衛に部屋まで送らせます」

「明後日のオペラはボックス席を確保いたしますので、どうぞ楽しみにお待ちください」


「今宵はありがとうございました。オペラも楽しみにしています。では、お先に失礼いたします」

 近衛とともに去っていく来賓方を見送った。


 戻ってきたドレイクと三人で執務室へ向かう。


 執務室に入り、どかっとソファに沈み込んだ。

「はぁ…… カイウスのおかげでこれからやる事が山積みだな。父上達が戻るまであと4日か。それまでにアイツの処遇含めて父上が納得する報告書を作成しないとだな。

 ドレイク、まずは影からの報告を纏めろ」


「わかりました。しかし…… レティシア嬢は予想以上の才媛でしたね。

 確かに兄上は、マグナス領からネオジムが発見されたとの話題を晩餐の席で出していましたが、そこまで重要な資源となるとは、兄も予想すらしていないと思います。

 レティシア嬢の知識は専門家以上ですよ」


「バーガンド卿から、レティシア嬢は目で見たもの全て記憶出来ると聞いた。

 本の知識をそのまま吸収出来るんだろう。あらゆる本を読み漁っていたようだし、各分野のスペシャリストと言って過言はないだろうな。

 あんな逸材が眠っていたとはな。

 婚約解消による副産物が、思わぬ大物となったな」


「レティシア嬢は、社交が苦手で引きこもっているとの噂のせいで、どの家も婚約者候補にすら挙げていませんでしたからね。

 学院での成績に着目した殿下は、さすがとしか言えませんね」


「社交が苦手といっても、学院ではそれなりに他の生徒とうまく接していて、オリビア嬢とはいつも笑顔で話しているし、トリスタンにもそつなく対応している、と影から聞いたんだ。

 引きこもりとの噂に何か裏があると思ったんだよ。 バーガンド卿にしつこく聞いて正解だったな。

 オリビア嬢と仲が良かったのも、功を成したな」


「そのオリビア嬢ですが、今後の処遇はいかがいたしますか?おそらく、レティシア嬢の言う通り何も非はないでしょうね」


「レティシア嬢にオリビア嬢の件で協力して欲しいことがあると言われた。その願いを聞き入れれば俺の望む妃となるとも」


「うわっ、逆に恐いですね。すごい難度の高い事じゃないですよね?」


「まあ、大丈夫だろう。明日の午後は空いていたよな?午前中に王城への招待状を出してくれ。

 お茶でもしながら話を聞くよ」


「わかりました。お茶会が終わるまでには影からの報告をまとめておきます」


「エリオットは、ネオジム事業の計画立案と根回しをたのむ。父上が戻られたらアスター卿も帰国される。

 それまでにアスター卿と詳細を取り決めておきたい」


「わかりました。早速父上に相談し、事業計画を早急に作成します」


「ほんと忙しいな…… 明後日の教皇との謁見も延期したいところだが、レティシア嬢との婚約式を最短でお願いしたいし、仕方ないな。

 今日の式典で婚約発表したようなものとはいえ、婚約式までは娘を持つ貴族から横槍が入る。謁見の断りが面倒だ。一刻も早く婚約式をあげたい」


「その打算的な考えに踊らされるレティシア嬢が気の毒ですね。

 殿下の望む妃にまでなると宣言するくらいですから、殿下との甘い関係を望まれているのでは?」


「いや、君なら愛する事が出来そうだと告げたら、側妃に愛情を与えてかまわないと言われたぞ」


「うわっ、何ですか、それ!すごい俺様発言だし、しかも殿下、フラれてるじゃないですかっ!」


「いや、フラれてはいない。君からの愛を受けられるよう尽力すると告げたら、まんざらでもなさそうな顔をしていた。

 結婚は有無を言わさずだが、良い夫婦関係の構築は出来そうだぞ」


「そうですか…… まあ、頑張ってください。

 お互い優れた容姿と素晴らしい頭脳をお持ちのようですので、とてもお似合いだと思いますよ……

  ひとまず、私とエリオットは馬車馬のごとく働きます……」


「そうだな。この腹黒殿下の元で働くと決めたんだ。馬車馬となるのはある意味自己責任だよな。

 だが、ひとまず今日はゆっくり寝かせてくれ。明日からは寝る時間が半分以下になる事が決定だ。

 では、殿下、御前失礼します」


「うわっ、ずるいっ!俺はこれから影から報告受けなきゃなのにっ!殿下、隣の応接室借りますよ!早速影から話し聞かなきゃなので!御前、失礼しますっ」

 二人が退室し急に静かになった。


(はぁ…… カイウスの処遇は影からの報告を受けてから考えるとして……

 まずは、この書類の山を捌くとするか。レティシア嬢が王太子妃となればこの山も減るだろう。王女には何も任せられなかったからな。それを考えると、王女にまんまと落ちたロイドに感謝しないとな。

 彼らの結婚式には盛大な祝いを贈るとするか)


 ため息をつき、重たい体を起こして執務机に向かった。




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