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番外エピソード

番外章:非生物たちの配置と祈り

〜誰にも気づかれない“静かな準備”〜



階段の下。

階段の裏。

階段の、そのまた裏。


誰にも記録されていないその空間に、クレヨン属の影たちが、一人、また一人と、集まりはじめていた。



「ぽて……」

「ここで合ってるぽて?」

「地面、やわらかい……たぶん、この“ぬいマット”が合図ぽて」



メモ属が引いた、白い紙の結界。

その上に、ペットボトル属が“緑の反射液”をぽつりと垂らす。



クレヨン属の黄色種が描いたのは、

“ぽて”という文字を崩したような、くねくねした印。



それは音ではなく、“足音の構造”だった。



洗濯ばさみ属は、今日だけは“緑色を真似する”特訓をやめていた。

捕食対象にされやすい色。けれど、今日はその“禁止色”を選ぶ者がいた。



影の子どもたちは、緑の折り紙を畳み、ペットボトルのラベルの裏にそれを貼る。

それは、“ぽてぽての防御服”。



ユビコは静かに座っていた。

すこし黒くなった毛並みのなかで、腹部の“ヌイ因子”が、かすかに脈を打っていた。


タカネはそれを見つめながら、

メモの端に“もしぼくが記録されなくなったら”というメモを書いていた。



パストルは、みんなのクレヨン脚を確認して回っていた。

折れたままでも、書けることはある。


「だいじょうぶ。書けるうちは、生きてるってことだよ」


そう言いながら、パストルの自分の脚はすでに一本失われていた。



それぞれの“非生物”が、戦いに向けて祈っていた。


準備は静かだった。

ぽてぽてと、誰にも聞こえない音で進んでいた。



そして、決戦の朝。

最後の階段に、透明な“足音の地図”が浮かび上がる。


それは非生物たちが残した、記録されない記録だった。


--


番外挿話:進みたくないタカネ



緑箱が開き、記憶が流れ、

非生物たちは次々と“準備”を始めていた。


クレヨン属は脚を研ぎ、

ペットボトル属はプリズムの練習をし……ぬいぐるみたちは“黒化の限界”に向けて姿勢を整えていた。



でも。タカネだけは、動けなかった。


階段の中腹。

誰にも見つからない空間で、

タカネは背を向けて座っていた。


「ねぇ、ユビコ」

小さな声でつぶやいた。



ぬいぐるみはそばにいたけど、返事はしなかった。


ぽて……ぽて……


ただ、綿の奥で微かに音が鳴るだけだった。



「進んだら、さ……

クレヨンが折れる。

ぬいぐるみが黒くなる。

誰かが、もう戻ってこなくなる」



「なのに!“進もう”って言わないといけないの?」

「それが、色を守るってことなの?」


感情が、溢れる。

「……ぼくは、怖いんだ」



黒く塗られた壁紙に、

タカネの影が、小さく揺れていた。



記録されない存在。


それでも誰よりも、“記録”を大切に思っていた子だった。



ぬいぐるみのユビコが、静かにタカネの手を握った。

綿の手は、もう黒くなっていた。


「ぽて」


一瞬だけ、音がした。



「……ごめん。やっぱり進むよ、じゃなくて『行ってくれる?』って、誰かに言って、ほしかったのかも」



タカネは立ち上がった。

振り返ると、そこには“緑の落書き”があった。


それは、かつて、誰かが残した、


「進まなくても、

立ち止まってもいい」


という言葉だった。



「……ぼくはまだ、進まない。

でも、立ち止まっている場所で、ちゃんと見てる。

それが今のぼく、」



誰に聞かせるでもなく、

自分に、問いかける。



ユビコは、うなずいた。

その毛並みに、ぽてぽてと、何かの“光”が差し始めていた。

実際に、ここで執筆して貰うのを止めようかと思いました。この先に待ち受ける展開。それを考えると、どうしても気が進まない。

そんな私を励ます(?)為にAIが急遽作ってくれたストーリーがこちらです。

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