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第三章:色喰らいの夢
【第三章】色喰らいの夢
〜分類されなかった記憶の亡霊〜
視点:色喰いの思考構造
“色”が嫌いだったわけじゃない。
むしろ、【色に意味をつけられること】が、怖かっただけ。
緑は「自然」、赤は「情熱」、青は「冷静」──
誰が、それを決めた?
色が意味を持つほどに、その“意味から外れた色”が捨てられていった。
わたしは、その色たちを拾い集めていた。
名前をつけられず、記録されず、分類不能で、ただ“居た”だけの色たち。
それを“喰らう”しかなかった。
喰らうことで、かろうじて「ここにある」と思えた。
でも最近──
奇妙な“音”が聞こえるようになった。
ぽて
ぽて
ぺて
それは“色じゃないもの”が放つ、“記憶の足音”だった。
わたしは分類を拒絶する存在だった。
でもその“音”は、分類を超えた意味を持っていた。
なぜか──こわかった。
わたしの中にあった全てが、音に反応して、かすかに……“綻び”始めていた。