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【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました  作者:   *  ゆるゆ


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ほんき!




 身体の芯がしびれるようなレォのあまい声に、とろけかけたキーアは、あわてて首を振った。


「はー、初撃を防がれちゃうと、分がわるいよ。さっすがレォ」


 全力で加速した初撃で、はちまきを切る計画が、失敗しました。



 ──団体戦開始直後で、びっくりしてるレォを隙をつく。


 これが唯一、レォに勝てる策だったのに、さっそく頓挫しちゃったよ!



 超絶ハイスペックな攻略対象レォさまに、顔も名前も声もないモブが、勝てるわけない。


 でも、キーアはこの世界で生きていて、ちゃんと顔も名前も声もあって、レォと笑ったり、闘ったりできる。



『勝てるわけない』思ったら、絶対勝てないから。


『絶対、勝つ』思うだけで、闘志がみなぎる。



 最初に考えてた計画が全然だめで、失敗したら、プランBだよ。


 いや、全く何にも考えてなかったから、ただもう頑張るしかないよ!



 ギリギリ鋼を削る、交わる刃を見つめたキーアは、ちいさく笑う。


「胸を借りるつもりで、いくね。よろしくお願いしまーす!」


 重なる剣から、力を抜いた。


 突然、全力で剣を交えていた相手が引いたのに、微塵も体勢を崩さないレォは、さすがだ。


 すぐに追撃しようとするレォより速く


 トン


 かろやかに大地を蹴り、空中で旋回する。



「お頭、いっけえ──!」


 初撃に失敗したのが見えただろうに、キーアの背中を守るように、皆が盾を掲げてくれる。


 キーアの突撃に励まされたのか、レォに殺到しようとした白組の皆を、切れあがる青磁の瞳が、睥睨した。


 レォが闘気を開放する。


 ヒュァアア──!


 威圧された突撃隊の皆が、硬直した。


 ほとばしる殺気に、刃で首をなでられたように、一瞬で、動けなくなる。



 正面からレォの威圧を受けたキーアは、双剣を構え、笑った。



 レォが、ちょこっとでも本気になってくれる。


 入学試験のときにも、相手の騎士にしたように。

 たぶん、キーアへの礼儀として。


 ちっちゃいから、弱いから、あなどることなく、ちゃんと真剣に相対してくれる。


 それが、たまらなく、うれしい。



 ギィン──!


 突撃するキーアの双剣を、レォの長剣が止めた。


 シャシャシャシャシャ──!


 剣が鳴る。


 両の手で繰りだすキーアの双剣を止めるには、レォは2倍の速さで剣を振るわなくてはならない。


 なのにレォが掲げる重いはずの長剣が、紙のように振るわれ、キーアが繰りだすすべての刃を防ぎきる。


 ……ついてくる。


 レォの速さと胆力に目を剥いたキーアの唇が、吊りあがる。



「加速」


 つぶやいた瞬間、全身の筋肉が爆発する。


 ギアが上がる。

 刃の軌跡が、目に見えぬほど速く、風を斬る。



「く──!」


 わずかに刀身をひいたレォの剣が、一閃する。



 ドォオオオンン──!


 すさまじい衝撃波が押し寄せるのを


 トン


 大地を蹴ってかわした。



「でやあ──!」


 空中に跳んで、身動きがとれぬキーアへと、レォの剣が迫る。


 わかっていたキーアは、笑った。



 空中に跳ぶ。


 それは、すべての攻撃から逃れる法に見えるが、的になってしまう法でもある。


 特に、相手が強い場合は。



『実戦で使えるようになるためには、空中で自在に身体を使えなくてはなりません!』


 拳をにぎるトマに教えてもらったキーアは、ぽかんとした。


『トマ、忍者なの?』


『……にんじゃ?? とりあえず師匠のトゥヤは、化け物でした。師匠には全く全然微塵も及びませんが、教えてもらったことは、ちょこっとできるようになったんです』


 にこにこしながらトマが教えてくれた。

 空中で、身体を自在にあやつるコツを。


 大気に魔素が満ちている、この世界だからこそできる技だと思う。



 自分の魔力で、魔素をあやつる。


 魔法じゃないから、ゆるされると思うな!




 レォが、ちょこっと本気を見せてくれたように


 トマが鍛えてくれたから


 キーアも、本気でゆくのです。




 というわけで、魔力解放、必殺技、発動です──!










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