かんぺき
キーアの記憶をあわてて探索したら、ロデア大公国において貴族は平民に毛がぴよんとしてるだけなので、ほぼ平民だ!
国の中枢に関わる重責に泣いた両親は、ちっちゃな領地に引きこもり、畑を耕しながらのどかに領地経営しつつ暮らしてる。
貴族としての務めとか、公都にある邸(ちっちゃい家)の管理とか、ぜんぶ15歳なキーアに丸投げしてた!
ひどい!
まあでも貴族という名をもらい次期当主の指名を受けたら、当主代理として務めるのは当たり前で、15歳から社交界に出なければならない。
舞踏会とか、パーティーみたいなのに出て
『キーア・キピアですー。キピア家次期当主ですー。よろしくお願いしまーす!』って言うだけだから。
当主代理と言っても、公都に住んでればいいらしいから。
大公立学園に通うことになってるから丁度いいということになったみたいだ。
「キーアちゃん、がんばってね!」
「つらくなったら、一緒に農民になろうね!」
魔法で子どもができるので、両方男性な両親はにこやかに手を振って領地に引き籠もった。どうしても宮勤めが無理だったらしい。わかる。
茫然としつつ見送った記憶がよみがえったよ!
厳格な身分が厭でつくった国、ロデア大公国はうるさいことをあまり言われないので気軽だし、気さくだけれど、能力がないとあっさり領地没収で貴族位剥奪されちゃう。
平民も能力があって優秀だと、あっさり貴族位授与でばんばん昇進、できる人には楽しい国だ。できない人にはさみしい国だけど、できないなりに頑張ってると、ちゃんと食べてゆけるようになってる。
近隣のなかでは、いい国だと思うな!
ロデア大公国では、いちばんえらい大公殿下に最も近いのが高位貴族、次に上位貴族、中位貴族、下位貴族、平民、という構成になっている。
いちおう上位貴族なキピア家は先代が優秀で治世に貢献したと領地を賜ったんだけど、両親は向いてなくて、キーアがだめだと、たぶん貴族じゃなくなる。
ははははは。
前のキーアは笑ってる場合じゃなくて戦々恐々としてたみたいだけど、それで高位貴族のネィトとの将来の伴侶契約も喜んで受けたみたいだけど。
紀太の記憶を合体させたニューキーアに、怖いものはない!
平民、どんとこい!
『いらっしゃいませー!』
『お弁当あたためますかー?』
接客対応も、かんぺきだぜ!
というわけで、ニューキーアの方針は決まった!
①最愛の推しを遠くから応援するため、騎士科に入学する!
たぶん遠くから見るためだけでも騎士科に行かないと接点がない! 将軍だもんな、どうしていいか、わからん。
②できたら他のきらきらな攻略対象も見たい!
2次元のありえない顔面と身体と声で、3次元だよ? すごくない? いー匂いしそう! はあはあしちゃう!
③ヨニじいちゃんを養うためにも、できる限りはがんばってみるけど、だめだったら平民落ち、うぇるかむ!
④悪役令息なネィトの伴侶(予定)じゃなくなる
まあ向こうも望んでないだろうから④は自動的に達成されそうだ。目標というより、そうなるだろう予定だね。
今までのキーアも悪かった。ごめんよ。反省した!
『えぇえ~? 騎士科~!?』というキーアの嘆きが聞こえる気がするが
「ごめん! 推しに逢わせて!」
すべての抗議を真正面から粉砕する推し!
輝いてる!