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ごめんよ




 キーアが元気に掲げる拳に、ヨニおじいちゃんが、ぽかりと口を開ける。


「……は? え、キーアおぼっちゃま、そ、それはちょっと、ご無理があるかと……」


 ヨニの視線をたどったキーアは、お腹をつまんでみた。


 ぷよってる!


 ……とかいう次元じゃなくて、段じゃね……?


 やばい!

 なんだこの身体は!


 キーアとしては貴族の標準体型だったらしいが、紀太からするとやばやばぷよんだ!



 あわあわ寝台から身体を起こしたキーアは、鏡を覗きこむ。


 ぶよんと出た腹と、ぷよってる腕と足が、ゆさゆさ揺れた。

 もっさもっさの黒髪を掻きあげてみたら、青い目だった。おお!

 しかしせっかくの透きとおる青の目が頬の肉とまぶたの肉に埋もれてる。よく見えん!

 顔はにきびで、ブツブツしてる。

 キーアの記憶では、油っこい食事ばっか食べてる!


 顔の造作は仕方ないよ。

 そこは文句を言われても困るけど。

 どうしようもない病気とか、怪我とかで運動ができないとか、色々ある人は別としてさ、健康なキーアとしては、ぶよぶよんは自分の頑張りで何とかできるあれだよね?


「……これはちょっと、悪役令息に同情するかもしれん……」


『これが伴侶(予定)です』って言われたら、ちょっといや。


 ……なんか、ごめん。


 これは、他のかっこいー男にきゃーきゃーしたくなる気持ちが、わかる。BLゲーム大すきだから!


 理解した!


 反省した!



「ヨニ、俺、大公に謁見申請は取りやめる。がんばって痩せてから、ネィトに謝るよ……」


 しょんぼり告げたキーアに、ヨニは目を剥いた。


「えぇ!? キーアおぼっちゃまがネィトさまに、あ、謝られるのですか!?」


「これはちょっと、あんまりだからさ」


 つまんでみた段々になったお腹が、ぶるぶるしてる!


 やばやばぶよん!


 これを何とか改善し『今までごめんね』の後に、伴侶(予定)を解消する!


 これで行こう!



「ヨニ、毎日の食事を俺の言うとおりにして! 野菜とたんぱく質重視で、炭水化物は適量、油は控えめに! よし、筋トレと有酸素運動がんばるぞー!」


 筋肉は裏切らない!


「キーアおぼっちゃま、安静第一ですぅ──!」


 叱られました。


 ……仕方がない。たんこぶが落ちつくまでは、おとなしくドローインでもやってよう。


 お腹をへこませたまま、腹式呼吸を繰りかえすんだよ。真面目にやると、きっついよ。お腹ぽっこりが治ったり、やせるらしいよ!


 がんばろー!

 おー!






 食生活の改善、これだけでも、かなりいける!


 キーアとしての記憶しかないなら大変だと思うが、紀太の記憶があるニューキーアなら、何の問題もない!


 というか、この世界の料理、油っぽすぎるよ……

 ふつうに調理したら痩せる!


「こんなあっさりした飯でいいんですか!」


 料理長兼御者兼厩番兼従僕なトマが仰け反ってた。


 びっくりなことに、キーアはちっちゃな邸に、おじいちゃん執事のヨニと、何でもやってくれるありがたいスーパー従僕トマの3人で暮らしてる。


 ……あれ?


 上位貴族の次期当主じゃなかったっけ?



「……え、俺、もしかしなくても、超絶冷遇されてる?」



 悪役令息な伴侶(予定)にないがしろにされる、ぷよぷよんなうえに、冷遇~?


 顔も名前もないモブに、厳しすぎない……?








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