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推しに逢いに!




 確かに魔法は夢だ。異世界転生したなら、是非とも使いたい!

 進むなら魔法科がいい!


 夢の異世界転生を成し遂げたキーアの肩が、しょぼんと落ちる。


 しかしネィトと一緒か……


『きみがしっかり掴まえていないから!』

『ちゃんと監督してくれないか』


 攻略対象たちに文句を言われる未来しか見えない。


 きらきらのイケメンに叱られるなんて、泣いちゃう──!


 できるだけ早く、伴侶(予定)契約を破棄しなければ!



「……ネィトもさ、昔は引っ込み思案で、可愛かったのになあ。この子と伴侶になるなら、うれしいなって思ったことは……憶えてる」


 ちっちゃな手を繋いで、たんぽぽの綿毛を吹き飛ばした、やさしい思い出がよみがえる。


「今は昔の面影が微塵もないな」


 ため息をつくキーアに、ヨニの白い眉がさがる。


「キーアおぼっちゃまの励ましで、大変快活になられまして……」


「俺のせいか──!」


 項垂れた。


「……魔法科に行きたい、けど……」


 魔法は使いたい。

 ぜひとも使いたい。


 ファイアーボール! やってみたい!


 しかしここがBLゲームの世界なら、大変重要な分岐点だ!


 ネィトが悪役令息だったのは『悪役令息と決闘だ!』というBLゲームだ。

 いかにむかちゅく悪役令息をぽこって攻略対象を手に入れるか、という、悪役令息とのバトルとざまぁを楽しむゲームだった。


 決闘に負けると主人公がざまぁされちゃうというストレスフルな、バトルBLゲーム!


 決闘とかバトルといっても、そこはBLゲームだ。

 勉強で勝負、とか、魔法の華やかさで勝負、とか、お菓子作りで勝負、とか、衣装で勝負、とか色々平和な勝負で、ほんとに剣や拳や攻撃魔法で殺しあったりしない。だいじょうぶ!


 このゲームで一番最初の分岐が、大公立学園に入学するときに起きる。


 魔法科に進むと、次期大公と目される王子ポジな大公殿下の子息と、イケメン眼鏡担当の宰相候補が。


 騎士科に進むと、細マッチョ騎士の同級生と、ゴリマッチョ騎士の先輩が攻略対象として現れる。


 さらに! 悪役令息との勝負に勝ち続けると


 魔法科では、時空さえ超えると謳われる大魔法使いが


 騎士科では、大公国の守護騎士と謳われる隻眼の将軍が


 隠しキャラとして登場するんだよー!



 紀太としては、リアルなきらきら王子を拝みたい気持ちも高いが、やはりここは最愛の推し!


 隻眼の将軍ルートに進みたい!


 いや主人公じゃないからルートも何もないけど、遠くから見るためにはやっぱり騎士科にゆかなくてはならないと思うのです。


 将軍って、おじちゃんじゃないよ。

 ぴちぴちの30代!

 隠しキャラだけあって、ものすんごいイケメン!

 眼帯、かっこいー!


 ……今、30代ぴちぴちしてないって思った?


 枯れはじめとか、ちょっとお肌の張りがとか、ありえないから!

 30代、まだまだ全然若いから──!


 人生100年かもしれないんだよ?

 間違いなく若者でいいよ!


 というわけで眼帯でかっこいー若さがはち切れそうな将軍にお逢いしたいです!



「ヨニ、俺、騎士科希望に変更する!」



 異世界転生したモブの最高の特典は、3次元に実在する推しを、遠くから鑑賞できることです──!


 最愛の推しに逢いにゆくために、がんばるよー!


 おー!








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