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おしらせ




 ばしっと出したよ、伝家の宝刀『大公殿下に訴える』!


 キーアは踏ん反り返る。


 ロデア大公国で一番えらいのは、ロデア大公殿下だ。


 貴族間でゴチャゴチャして揉めそうな場合、とくに伴侶関係ね! 浮気したとか離縁したいとか、そういうのね! えらい家のほうが無体をして、身分の低いほうが泣き寝入りするしかないとか、そういう悔しい場合に使う必殺技が『大公殿下に訴える』だ。


 ロデア大公国は、もともとネメド王国の王兄だったロデア大公が、ネメド王国の厳格すぎる身分制に反対して起こした国だ。


 キーアの知識によると、自分の領地を独立させて新しい国をつくり、ネメド王国から離反した貴族や領民たちと一緒に領地を着々と広げたらしい。


 いちおう皆にわかりやすいように貴族という名前になってるけど、国の中枢を担う優秀な特権階級だよ、というだけで、平民に毛が生えたくらいの感覚だ。ぴよんとね。

 それでも上下はやっぱり生じてしまう。


 そこをバサっと斬ってくれるのが、大公殿下だ!


『ひどいんです!』


 訴えて、証拠がちゃんとある場合、大公は下の者の言い分を聞いてくれる。

 独断で貴族をばっさり斬れる大公殿下、かっこいー!


 舞踏会でも伴侶(予定)を放っておいて、他の男に声をかけまくるネィトを目の当たりになさった大公殿下が


『かわいそうに。無理になったら言えばいいからね』


 肩をぽんぽんしてくださったのだ!


『ほんのちょっと苦言を呈したら暴行されて文句まで言われました、もう無理です!』


 泣いたら間違いなく、未来の伴侶契約はなかったことになる! 

(予定)じゃなくなるよ、ひゃっはー!



『もう二度と会いたくない。二度と来ないでくれ』


 断言したかったのに!



「僕とはやく伴侶になりたいのは分かるけど、18歳までは無理だから! じゃあねー!」


 人の話を聞いてねぇェエエ──!


 来たと思ったら帰りやがったぞ!



 え、うそ、『大公殿下に訴える』伝家の宝刀さえ聞いてないの!?


 あんぐり口を開けるキーアの肩を、ヨニがぽんぽんしてくれる。



「……ああいう方なんですよ……」



 …………………………。



 終了のお知らせだね。







 伴侶(予定)が、いろいろお終いなことは理解した!


 痛い頭がますます痛くなったよ。がっかりだよ。


 しょぼんと肩を落としたキーアは告げる。


「とりあえず大公殿下に陳情に行くよー。謁見を申しこんで、ヨニ」


 心配そうにヨニは白い眉をさげた。


「しかしおぼっちゃま、今は安静が第一です! おぼっちゃまの頭が2倍に!」


 たんこぶでね。

 でかすぎだね。


 確かに動くと痛い。動かなくても痛いよ!


 仕方ない。


「じゃあ頭が落ちつくまで、勉強でもしてようかな。試験があった、よね……? えーと、来年の春から魔法学園に行くんだっけ?」


 紀太の記憶が復活したら、キーアの記憶が弱くなったみたいだ。

 ぼんやりする記憶をさがすニューキーアを心配そうに見つめたヨニが説明してくれる。


「ロデア大公立学園でございます。キーアおぼっちゃまは、ネィトさまと同じ魔法科を希望しておられました」


「……あー」


 キーアは肩を落とした。



 BLゲームの世界で、悪役令息といっしょ。しかも伴侶(予定)。



 ──破滅の匂いしかしない。










ずっと読んでくださって、ブックマークもありがとうございます!


最近、インスタをはじめて、動画を作れるようになったので(笑)キーアとメイン登場人物の紹介動画を作ってみました。

どんな人が出てくるか、先にわかってしまうのですが、BLゲームの紹介動画みたいになったらいいなと。もしよかったら!@siro0088

https://www.instagram.com/siro0088/


意外に?(笑)かわいいネィトも、ヨニもトマもいますー!(笑)




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― 新着の感想 ―
こんにちは(^^) きーちゃんとネィト、初期ってこんなに はっちゃけてましたっけ(笑) にゅーきーちゃん以降のイメージが強すぎて すっかり忘れてましたが きーちゃんとネィト(とヨニ)のやりとり これは…
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