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悪役令息の伴侶(予定)に転生しました  作者:   *  


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10/122

はじめまして!




 すみません、ごめんなさい。

 2次元が2.5次元を超えて3次元になった歓喜に、ちょっと頭と言動と動作がおかしくなりました!


 あばばばしたキーアは、あわてて直角に頭をさげた。


「ご、ごめんなさい!」


 深く頭をさげてから身体を起こし、膝を折って胸に手をあて、また頭をさげる。


「は、はじめまして、レォ・レザイさま。キピア家次期当主、キーア・キピアと申します」


 スーパー従僕トマが姿勢を気をつけるように教えてくれた、貴族の敬礼のごあいさつ、できた!


 じゃない、今すべきなのは、挙動不審の言い訳だ──!


「え、ええと、あの、レォ・レザイさまが、あんまりかっこいーってお聞きしてて『そんな高位貴族にへつらっちゃってー』って思ってたら、ほんとだったから、びっくりしました!」


 言動のあんぽんたんが訂正できない!


 だって、長い髪がさらさらしてるよ。


 腰、ほっそ!

 手足、なっが!

 顔、ちっちゃ!

 鼻、たっか!


 きゃ──!


 燃える頬で、もだもだして気づいた。


 これって、悪役令息(伴侶(予定))と一緒の行動じゃね?


 ごめん、ネィト!

 きみはちっとも悪くない!


 こんなにかっこいーと、きゃーきゃーして、もだもだしちゃうよ!

 当然だよ!


 反省した!



 きゃーきゃーするキーアにドン引いたのだろう、レォが引き攣ってる。


 ──果てしなく、ごめん。


 ファンは推しに迷惑をかけてはいけないんだよ!

 最愛の推しは将軍だけど、もちろんレォも大すきだよ──!


『悪役令息と決闘だ!』のゲームが大すきだったのは、皆すごくかっこよくて、やさしくて、理想を煮詰めたみたいなゲームだったからだ。


 イケメン、あいしてる──!


 2次元が3次元になってるなんて、めちゃくちゃいー匂いがするなんて! 髪がさらさら揺れてるなんて! 拝まずにいられない──!


 無意識で拝みポーズに入ったキーアは、わたわた起きあがる。


 ちがった、謝罪だ!



「す、すみません、うるさくして。すぐいなくなります、ごめんなさい!」


 あわあわ試験会場の闘技場へと向かおうとしたキーアに、レォが首を振る。


「……いや。魔法科の試験は、来週だ。今日は騎士科の試験なんだ」


 わ──!

 耳にぞくぞくする低音!

 BLゲームどおりのイケボだ──!


 きゃ──!


 いちいち反応がうざくてごめんよ、レォ!

 ニューキーアになってから攻略対象に初邂逅だから、ゆるしてくれ!


 ひとしきりもだもだしてから、親切に教えてくれるレォを見あげる。


 名前も顔もないモブにも、やさしいイケメン。


 最高かよ──!


「レォさまは騎士科一択ですよね? 俺は併願なので来週も受験に来ます」


 青磁の瞳が瞬いた。


「……併願?」


「はい」


「……きみが、騎士科に?」


「はい!」


 スーパー従僕トマが鍛えてくれた拳を握ってみた。


 周りのガチムチ受験生たちが

「ぷぷぷ」ってなってる!


 ひどくない?


 いちおう、ぷよってるのは治ったし、いい感じに仕上がったと思ったけどなあ。


 ふくれるキーアに、ぽかんとしていたレォが、ちいさく笑う。


「では、ともに頑張ろう」


 イケメン!

 言動もイケメン!


 輝いてる──!


 これ間違いなくスチルだァア──!


 拝んだ。



「なんか変な子がいる!」


「……騎士科の受験会場だぞ?」


「迷子じゃないか?」



 うわさになりました。


 すみませんでした。








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