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伴侶(予定)?




「邪魔しないで、キーア──!」


 魔道具の灯りが揺れる秋の舞踏会で、目の前で他の男に言い寄る伴侶(予定)に「あんまりじゃないかな」つぶやいたら、思いきり突き飛ばされ、大理石の床に頭を強打した。


 あんまりじゃないかな?



 ……いやいやいや、なんだよその穏やかで控えめな抗議は──!


 伴侶(予定)の目の前で、他の男といちゃつこうとする男だぞ!?


 いくら可愛いからって…………いや、なんだあのもっさり!


 くそう、伴侶になる前から浮気しまくる男だなんて、こっちからお断りだァア──!



 拳を突きあげようとした瞬間、頭を抱えた。


「いってぇえ──!」


 激痛に頭が軋む。

 天蓋つきのふかふかベッドも一緒に軋んだ。


 ごちんと頭を打って意識を失い、運ばれて寝てたらしい。

 いまだかつて味わったことのないふかふかに、ちょっと気分が浮上しかけたが、頭が痛すぎる!


「だ、大丈夫でございますか、キーアおぼっちゃま!」


 あわてたように駆けつけてくれたのは、丁寧に撫でつけられた白髪と白いお髭と黒い執事服に包まれたおじいちゃんだ。


「……だいじょばない。真剣に涙が出るくらい痛い。坊ちゃんは、やだ。キーアって誰?」


「…………え?」


「…………え?」


 執事っぽいおじいちゃんと顔を見合わせて、しばらく停止した。


「い、医士をはやく──! キーアおぼっちゃまがぁあ──!」


「いや慌てなくていいから。血圧あがるよ、どうどう」


 思わずおじいちゃん執事の背をさすってしまった。




「おお、でっかいたんこぶが!」


 駆けつけてくれたおじいちゃん医士が診察してくれる。

 頭のうしろに出現した、たんこぶを観察したり、目の下を引っ張ったり、心音や肺の音を聞いたり、お腹をぽんぽんしてくれたら、問診だ。


「今は何年ですかな?」


「2024、じゃなかった、年が明けたから2025年!」


「今日は何月何日ですかな?」


「……えと、2月15日?」


「あなたのお名前は?」


 一瞬考えた。

 名前を考えるのってやばい? よな?


「……室矢紀太?」


 きーただよ。愛称はきーちゃん。

 元気な高校3年生男子……いや、会社員? バイトだっけ? あれ?


 おじいちゃん執事が真っ青になってる。


「本日は、大公歴175年、紅葉の月、12日でございます。あなたのお名前は、キーア・キピアさま。ロデア大公国の上位貴族キピア家の、次期当主さまでいらっしゃいます」


「…………は?」


 ぽかんとする紀太に、おじいちゃんは告げる。


「未来の伴侶となられるご予定のネィト・トリアーデさまのご乱行に、キーアおぼっちゃまが頭を痛めておいでなのは皆の知るところにございます。あまりのご心痛に、記憶が錯乱しておられるのかもしれません」


「……ネィト・トリアーデ?」


「はい」


「……俺の伴侶?」


「予定です。高位貴族からの申し入れですので、断るのは本来なら難しいのですが、ご乱行に加え、未来の伴侶に暴行とくれば、破棄は可能でございます。大公さまのお耳にも入り、トリアーデ家の評判はガタ落ちでございます」


「俺が、ええと、キーア・キビアで、ネィト・トリアーデの伴侶?」


「キーア・キピアさまです。ピ」


「ぴ」


「ネィト・トリアーデさまの伴侶になられるご予定でしたが、破棄でしょう」


「……ネィト……? ……ネィト……ネィト……」


 なんか、聞いたことある!


 痛い頭で、うんうん唸った紀太は思いだした!



 大すきなBLゲームの悪役令息だ!









 はじめまして! いつもありがとうございますだったら、とてもうれしいです。


 ジャンルがちょっと恋愛なのかファンタジーなのか迷うところなのですが、皆から愛されてわちゃわちゃする感じのお話です(笑)


 楽しんでくださったら、とてもうれしいです!



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