5 涙で滲んだ風景。
=====緊急入院====
夜になり、南の島の高級リゾートホテルの・・やはり最上階のスイートで・・
「御前!先ほどは大変に申し訳ございませんでした。大恩ある御前に謝罪をさせてしまうなどと・・この責任は・・」と言いかけた護衛に対して神尾は・・
「まあ・・よい・・ワシが無知だったのだよ」と【高級ワイン】の入ったグラスを回しながら【バスローブ】に身を包んでいた。
すると・・<ガシャーン>高級テーブルに落ちて砕ける高級グラス!・・
「「神銀さま・・御前!しっかり・・きゅ・・救急車!」」・・・・・
=====俺も終焉のフロア行き=====
・・・・・<シュウ・シュウ>・・<ピー・ピー>・・機械音が聞こえる部屋に神尾はいた。
「安っぽい天井・・病院?・・ワシはどうして?・・ホテルでワインを飲み・・急に胸が苦しくなって・・ああ・・ワシは【死ぬ】のだろうか・・」
急に言いようのない【不安】が襲った・・「銃弾に撃たれても倒れず・・日本刀で切られても屈しなかった俺が?・・死・・ぬ・・の・・・か・・・・・・いやだ・・」
鈍い鉛の様な【痛み】を感じる胸を触ると・・【箱】の様なものが埋め込まれており・・
更に恐怖は加速する・・
「いやだ!死にたくない・・くそう!」涙が溢れて・・「くそう!くそう!くそう・・」と声が漏れる。
すると・・俺の右手に【ぬくもり】を感じたのだった・・「ああ・・暖かいなあ。」思わず口にした俺が顔を横に向けると【女の子】が立っており、俺の手を握ってくれていたのだった。
俺は「君は【チー】君だったか?どうしてここに・・」麻酔が抜けきっていないため片言で声を掛けるとその女の子は更に、俺の右手をシッカリと握り・・
「怖いよね・・死ぬかもしれないって【寒くて】【暗い】よね・・」と優しい声で話掛けたのだった。
俺は年も忘れ「ウぐぐ・・グおお・・グスン・・嫌だ・・死ぬなんて・・いやだ・・嫌なんだよ!チクショウ!」と、鼻水を出しながら泣くしか出来なかった。
昼に出合った【チー】と呼ばれていた女の子がベッドに近づくき・・自分の胸に俺の顔を抱え込んでくれた時・・<ゴツン>と、固いものが顔に当たる・・彼女の胸にも【箱】が埋め込まれてあったのだ。
「泣くだけ泣くとね、あとは涙が何処かに行ってね・・泣けなくなるんだよ。」と語り掛けられると・・俺はまた眠りに入ったのだった。
<シュウ・シュウ>・・<ピー・ピー>・・機械音で目をさました俺は、もう【以前の俺】に戻っていた。
「ここは・・ICUなのか?」俺は浴衣?の隙間から、自分の胸に・・恐る恐る~手を入れると<コツン>と言う感じで【堅い箱】が埋め込まれてあった。
「死にかけたのだな・・」そして、昨夜の【失態】を思い出して、酷く恥じた!
「うう・・自分と同じ境遇の女児の胸に・・顔をうずめて泣くなんて・・くうっ!殺せ・・いや死にたくない。」
そんな馬鹿な事をかんがえながら窓を見ると・・真っ青な青空だった。