ぼっち冒険者とゴブリンの謎
拐われていた少女を抱えて村へ戻ると、村人総出で出迎えてくれた。
少女の両親は、涙を流しながら感謝の言葉を繰り返し、カヒコの父親も俺のことを何度も何度も褒めてくれた。
しかし、薬師が診ても、ナミが目を覚さない理由が判明しない。俺が素人目に見た感じでは、仮死状態に近いように見えるが、呼吸はしているので少し違うのだろう。
何かしら、麻酔薬の様な物を飲まされた可能性はないか、と薬師に尋ねると、こちらの世界ではそのような薬はないと言われた。
ポーションで傷が塞がり、魔法で怪我が治るような世界である。あまり医学自体は進んでいないのかもしれない。
事実、カヒコの時だって……。
「ゴブリン達は、何か祭壇のようなものを作っていました。みなさんの中で、このゴブリンの行動に心当たりのある方はいらっしゃいませんか?」
「―――。」
「これは、ゴブリンが被っていた仮面です。どなたかこの仮面について、どんな意味があるかわかる方はいらっしゃいませんか?」
「―――。」
まぁね。わからないよね。
こんな気味の悪い仮面、見た事も聞いた事も無いもの。なんとなく狐の顔のように見えるけど……。目を覚さないナミちゃんの事も含めて、謎が多すぎる。
「とりあえず、ここのゴブリンは討伐したので、もう一つの依頼の村へ行ってきます。その村も同じようにゴブリンが大量発生しているようですし、もしかしたら、何かナミちゃんが目覚める為の情報があるかもしれないので。」
――今回の討伐は、気になる事が多い
他の依頼場所でも同じような事が起きているのではないかと、心配が募り、気が焦ってくる。
最初に行った更待村でも、ゴブリンの数がかなり多かった。
祭壇のようなものについては、全く気にしていなかった為、有無についての記憶には自信がない。
もし、この周辺でのゴブリンの活発化に関連性があるのなら、次の新月村もしっかり調査するべきだろう。
「とりあえず、ナミちゃんの事よろしくお願いします。またこちらに寄りますので。」
♢
「待って、ヒロ君。今回の祭壇や仮面のゴブリンの事について、冒険者ギルドに報告するんでしょ?」
「あぁ、そうだね。次の新月村のゴブリン討伐も終わらせて、同じような事がないかどうか調べてから、冒険者ギルドに調査を頼むつもりだよ。」
「なら、私も連れて行ってもらえないかしら?ナミの事もあるし、色々と調べたいの。もちろん、新月村のゴブリン退治も手伝うわ。」
1人よりも2人の方が良いに決まっている。
でも、今回のようにゴブリンが大量発生している状態だとしたら、アメワを連れて行くのは危険すぎる。
「ヒロ君、私の第二の才能は【思考】。話したことあったでしょ? もしかしたらゴブリンの祭壇や仮面についての謎解きに役立つかもしれないわ。それに、背中を守る者がいた方が安心でしょ?」
『ちょっと、ちょっと! そんなこと言って、ヒロのこと狙ってるんじゃないわよね! 私が居るんだから、ヒロの隣は譲らないわよ!』
あはは……どちらかと言うと、ベルさんの定位置は頭の上だけどね。
「ふふっ。どうかしらね。ヒロ君、私、ナミが目覚める為の手助けをしたいの? 今回のゴブリンの行動には謎が多すぎる……どうか、一緒に連れて行って。」
こうして、新月村でのゴブリン討伐にも、アメワが同行してくれることになったんだ。
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