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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
9/438

いじめられっ子、思い出す

♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎



あれ……ここは家かな……



「パパ、もう帰ってこないの?」


ただいま……パパはここだよ……



「パパは、遠い所に行ってしまったの…ごめんね。」


……俺は……遠くってどこ……



「嫌だよ、パパが居ないなんて嫌っ!」


……君の側にずっといるさ……



「ママも、パパがいないなんて、嫌よ…でも、パパはもう戻ってこれないの…」


……………



「なんで!嫌だよ!イヤっ!」



……………



           ♢



 妻と娘が泣いている姿をずっと観ていた――



           ♢



 ああ……、俺は2人の前に帰れないのか。

 俺は2人を残して消えてしまったんだ。

 俺は家族を泣かせてしまったのか。

 晩御飯一緒に食べるって言ったのに。

 あぁ、娘のランドセル姿見たかったな。

 嫁さん娘と三人で、楽しく過ごしたかった。

 君にはいつも迷惑かけてばっかりだ。

 なんでこんな事になってしまったんだろう……

 ありがとうも、さよならも言えないなんて……

 2人ともごめんな……

 ごめん……

 ごめ……

 ご……

 ……

 …



♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎



 冷たく薄暗いダンジョンの中で目が覚める。

 微睡んでいた俺は、身体の痛みのおかげで徐々に意識が覚醒していく。

 痛みを堪えてゆっくり目を開けると、滲んだダンジョンの天井が見えた。

 何故か、頬には涙が伝っていた。



 …………。


 

 その時、はっきりと思い出した。



 そうだ、俺は家族を残して死んだのだと――



 あれは夢ではない。紛れもなく俺の後悔が見せた「現実だったこと」だ。僕の中にある前世の記憶が徐々に溢れ出してきて、涙が止まらなかった。


 そう、俺は俺として生き、そして死んだのだ。そして確信した――



 今、この世界に

 

 今、この身体で



 ナナシと言う人間として、ここに存在しているのだということを――


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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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