ぼっち冒険者の成長
第3章のスタートです!
主人公への応援よろしくお願いします!
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「ベルさん! 後ろ警戒しておいて!」
『了解! 前の狼ちゃんと片付けてよっ!』
俺たちは、今、ダンジョンの地下10階を探索している。
目の前にいるのは、以前に苦戦していた狼の魔物が3頭。波の乙女と土小鬼が協力して作った泥沼にハマっており、魔物たちは、足を泥から抜く事ができないでいる。
身動きの取れない狼に向けて、火蜥蜴が炎の息吹を浴びせると、魔物は火だるまになって消滅した。
「よし、地下11階に降りる階段の位置までのマッピングもできたし、今回はここまでにしよう。ベルさん、帰ろうか。」
俺は、大きなリュックを背負い、リュックに取り付けた鞘にショートソードを差し、ベルトには麻袋と精霊箱を下げ、右肩から袈裟懸けに水筒を下げている。
初めてのダンジョン探索から1年――
俺たち、【アリウム】は、ダンジョン=リンカーアームの地下10階まで進むことができるようになっていた。
♢
「フィリアさん、ただいま戻りました。」
俺たちは1泊がかりでの探索を終え、帰還の報告をする為に冒険者ギルドに立ち寄った。
「ヒロ君、おかえりなさい。今回も無事で良かったわ。」
「ありがとうございます。今回は、地下11階へ降りる階段までのマッピングを終わらせてきました。」
一泊二日の工程で地下10階まで制覇できるというのは、かなり優秀な速さであるらしい。
最近では、魔力の上限もますます増えたようで、地下10階までの探索も魔力切れの心配なく終える事ができるようになった。
「この調子なら、パーティーも個人も、すぐにD急に上がれそうね。」
何度かのダンジョン探索の成功で、俺たちはすでにE級に上がっていた。功績は順調に伸ばせているのだ。
今回、ダンジョン探索で手に入れた魔石は銀貨30枚になった。薬草採取をしていた時とは、稼げる額が全く違う。今では、日々の生活はかなり余裕ができてきた。
「では、これで今回の探索は終了ということで。僕たちは一週間ほど休みますね。」
「――あ、ヒロ君、申し訳ないんだけど、もしよかったら、ゴブリン討伐の依頼をいくつか頼まれてくれないかしら? なかなか引き受けてくれる冒険者がいなくて困ってるのよ。」
相変わらず、地上での魔物討伐は人気が無いようだ。
「しかも、今回は、数がかなり多いらしいの。駆け出しの冒険者ではちょっと難しそうなのよ。なんとかお願いできない?」
フィリアさんの頼みじゃ断れないよな。
しかも、アメワが帰った村からの依頼も含まれているみたいだし。
「わかりました、明日の朝、ゴブリン討伐に向かいます。三カ所まとめて回ってきますね。」
ゴブリン討伐の依頼書を三枚受け取り、ケインさんから借りている部屋に帰った――