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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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新人冒険者たち、再び


 俺たちは新しい冒険へ向けて色々と話しあった。

 

 ベッドから動けないカヒコを囲み、笑いあった。


 お互いの才能やスキルについて教えあい、どのように活かしていこうかと相談しあった。

 

 俺が契約している精霊たちのことも紹介した。

 カヒコとアメワには、火蜥蜴のサクヤしか姿が見えないらしい。

 土小鬼のハニヤスと波の乙女のミズハは、ちょっと不満気だったが、ベルさんの話によると、サクヤは精霊箱の影響で姿が見えるだけで、精霊の姿は容易には見ることが出来ないのだそうだ。


 俺には【同調】スキルのお陰で見えているのだろうか。


           ♢


 なかなか動けるようにならないカヒコの為に、俺とアメワは薬草採取に精をだした。

 

 アメワは魔術士をやっているが、【教育】と【思考】という才能を授かっているのだと言う。火の魔法については、魔術書を読み込んで、頑張って使えるようにしたのだそうだ。冒険者を目指すカヒコのサポートをしたい一心で覚えたのだろう。


 毎日、薬草をギルドに納め、なんとかポーションの代金を払い終えた。カヒコからは、必ず恩を返すと言われたが、アメワも手伝ってくれたし、これから仲間としてやっていこうというのだから遠慮することはないと応えた。


           ♢


 カヒコの顔色が優れない。なかなか動けるようにならず焦りがあるようだ。


 カヒコは【体力増強】と【腕力増強】という才能持ちで、実家は大工なのだそうだ。大工になるのが嫌で、体力に自身のあったカヒコは、剣士を目指し剣を降り始めたと話していた。


「俺は剣術LV3になってるんだ。なかなかだろ?」


 努力だけで剣術のレベルを3まで上げただなんて、凄い奴だ。俺なんか、毎朝棒振りを欠かさずやっているのに、全然剣術は成長していない……。やっぱり木の棒振るだけじゃダメなのかな?


           ♢


 なかなか回復しないカヒコが、あまり話さなくなった。アメワも心配して側から離れなくなった。


 俺は、気が紛れるのではないかと思い、精霊たちの能力の利用法を一緒に考えてもらえないかと頼んだ。敵との距離をとるために、いい方法はないかなと。

 カヒコも、戦闘のこととなると興味が湧くようで、一緒になって考えてくれた。


 あれだこれだと、色々とアイデアをだしてくれたし、ちょっとベルさんと相談して試してみる事になった。



           ♢


           ♢



 一週間後、カヒコは体調が急変し、そのまま帰らぬ人となった……。


 破傷風だった……。



           ♢


           ♢



 アメワはショックで寝込んでしまい、カヒコの火葬に参加できなかった。

 

 俺は、焼かれて小さくなったカヒコの骨を缶につめてアメワに渡した。彼女は放心したまま、1日、その缶を抱いて泣き続けた。


           ♢


 アメワは、カヒコが居ないのでは冒険者は続けることができないと、故郷の村へ帰ることになった。


 俺は、憔悴したアメワを村まで送り届け、カヒコの両親に経緯を話した。


 カヒコの両親は、冒険者になると家出同然に飛び出した息子の変わり果てた姿に呆然としていたが、深く俺に頭を下げ、よくアメワを送り届けてくれたと、ありがとうと言ってくれた――



           ♢


           ♢


           ♢



 こうして、改めてパーティーを組もうと誓った仲間は、冒険者ギルドでメンバー登録をすることも無いまま、悲しい別れをした――



第2章完です。

明日から第3章、引きつづきよろしくお願いします!


主人公への応援よろしくお願いします!

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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