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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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いじめられっ子、世にはばかる


「ヒロ……ありがとう……そして、あの時は済まなかった……。」


 カヒコがベッドの上に上半身だけを起こし、頭を下げた。それに合わせてアメワも頭を下げる。


「あの時は、君を魔物の子供だなんて酷い噂を信じてしまって……いや……違うな。俺たち2人が街で孤立するのが怖くて、お前を悪者にして俺たちが逃げてしまったんだ。ごめん……。」


「私も……私たちに嫌悪の矛先が向くのが怖くて……本当にごめんなさい。」


 

――人は弱いな……自分の身を守ることで精一杯だ。



『あんた達! ヒロがどれだけ傷ついたと思っているのよっ! 私は絶対許さないからっ!』



――俺の事で、俺以上に怒ってくれる仲間がいる。



「お前を裏切ってしまった のに、こうやって命を助けてもらって……。しかも、こんな部屋まで……、俺はお前に恨まれても仕方がないのに……。」



――まぁ、涙が枯れるほど泣いたからな。でも、君たちの気持ちもわかるんだ。誰だって人に嫌われるのは辛いもの。



「私は、自分の意見をちゃんと示せなかったのが悔しくて……あの時、ちゃんとヒロ君をパーティーから外すのは反対ってちゃんと言えていれば……。」



――人はね、弱いんだよ……人と意見が違うと不安になるんだ。



 俺に対しての行動への後悔が溢れていた。周りに流されて、自分たちだけを守るために、俺を犠牲にしてしまったことに。


 ベルさんは最後まで怒ってくれていたが、俺は2人を許した。



 負の連鎖は俺が止めれば終わる。

 


 相手の弱みや、人と違うことを理由に相手を攻めるなんて、いつも俺がされていた事と同じだ。それを俺がやってしまったら、いじめっ子たちと同類になってしまうから―



 理不尽な事には負けない!


 いじめられっ子の意地だ!


 憎まれっ子、世にはばかるだ!


 いや違うな。いじめられっ子、世にはばかるだ!


 いじめっ子には絶対負けない! 


 そして、俺は絶対いじめる側にはならない!



          ♢



 カヒコとアメワは、泣きながら、ごめんなさいと繰り返した。


 二人が落ちついてから、色々と話をした。

 全然お互いを知る前に別れてしまったから。


 今までのこと、今回のこと


 そして、これからのこと――



           ♢



 カヒコの左腕はまだ動かすことができないようだ。

 でも、カヒコは冒険者を続けたいと言う。

 たとえ右腕しか使えなくても、剣士の道を突き進みたいというのだ。


 正直、無謀な挑戦に思えた――



 しかし、だ………俺もよくわからない、役に立たない才能だと言われてきたのに、ここまでやってきたんだ。


 全く攻撃のセンスは無いし、身体もちいさい。

 でも、冒険者を諦めるなんて選択肢は無かった。


 なら、俺は応援するしかないだろ?



「――なぁ、カヒコ。それにアメワ。もう一度、僕とパーティーを組まないか? 僕が君たちの盾になるから、君たちが僕の矛になってくれ。どうだろう?」


「――俺たちをもう一度仲間として迎えてくれるのか? ありがとう……ありがとう、ヒロ……。」


 アメワも隣で泣きながら頷いている。



 おしゃべり妖精は、かなり渋っていたが、ヒロが許すならと最終的に認めてくれた。

 


『――またヒロを悲しませるようなことがあったら、今度は絶対に許さないからねっ!』


 優しい妖精は、そう言って俺のリュックに隠れてしまった。

 


 新人冒険者たちは、今度こそ仲間になった――



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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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