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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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新米冒険者、悩む


 俺たちは、今、ケインさんが借りていた部屋にいる。ケインさんが俺の為に部屋を借りたままにしてくれていたのだが、今までは街の人の目が気になってしまい、その部屋を使わせていただく事はなかった。


 今回、重症のカヒコを宿屋で養生する訳にもいかない為、2人に宿を引き払ってもらい、このケインさんの部屋を借りてここで養生してもらうことにしたのだ。


 アメワはベッドで眠るカヒコの側を離れず、献身的に世話をしている。


 

           ♢



 俺も、今回の初探索を終えて、色々と考える事が増えた――


 カヒコとアメワのこともあり、しばらくはダンジョンに挑まず、また薬草採取して稼いでいる。

 冒険者ギルドで使われたポーションは銀貨5枚もする高級品だった為、ギルドに借金している形になっているのだ。


 俺が払う筋合いではないのだが、袖擦り合うもなんとやら、パーティーを追い出されたとはいえ、一度は仲間として活動した仲だし、それこそ仲間に裏切られた2人を放っておくことなんか、同じ気持ちを体験している俺には出来るわけがなかった。


  

           ♢


 

 薬草を詰みながら考える。



――ダンジョンにいたあの白い狼は、何故俺たちを見逃してくれたのだろう。



 どう考えても、あの状況で襲われたら、俺はともかく、他のみんなは無事では済まなかったはずだ。

 しかも、俺たちと戦っていた狼の魔物とは、明らかに格の違う存在だった。


 何度考えても答えはみつからないのだが、その事が頭から離れることはなかった――



           ♢


 

 俺は朝の日課の棒振りをしながら考える。


――パーティーの連携はとても上手く行ったと思う。でも、対多数の戦いはやはり厳しかった。


 ベルさんが上手く指示をだしてくれたから戦えたものの、やはり手数が足りなかった。

 どうにかして、相手との距離を取りながら戦う方法を考えないと、常に相手の間合いで戦うことになる。その状態では自分は大丈夫でも、ベルさんが危ない。


 精霊たちの能力をしっかり理解して、もっとうまく使えるようにならないと、ダンジョンの最奥を目指すなんてことは夢のまた夢になってしまう。


 ベルさんにお願いして、精霊たちと色々と話し合わないと――

 


           ♢



 カヒコとアメワの様子を見ながら考える。


――カヒコの左腕は動かせるようになるだろうか。もし、左腕が使えないなら、冒険者は辞めてしまうのだろうか……。


 カヒコは丸二日ほど意識を失っていた。

 目が覚めた後もアメワはカヒコの側をひとときも離れずに介護し続けている。

 2人の関係は、幼馴染と言っていたが、村からずっと一緒にやってきたんだ。それ以上の感情もあるのだろうし、不安は尽きないのだろう。


 俺をパーティーから追い出した形になっている事も2人が不安に思っている一因だろう。

 正直、俺だってなんとも思わない訳ではないが、今は、改めて2人に何かをして欲しいとかはない。



 まずは、カヒコの身体の回復が最優先だ――


 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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