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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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異常事態


 明らかにダンジョン内の様子がおかしい。

 地下一階なのに魔物が多すぎる。


 そして奥から聞こえた悲鳴と戦闘音……。


 明らかに誰かが危険に陥っている。


――現状、俺の魔力は問題ない。麻袋の石も余裕がある。三人の精霊も問題なさそうだ……。



「ベルさん! 誰かわからないが、ピンチなら助ける! 先行してっ!」


 了解、とばかりに妖精が俺を先導する。

 音と悲鳴が発せられている場所は遠くない。

 助ける! 


「居たわっ! 前方、狼の魔物が10頭程度! 冒険者が戦ってるけど、押されてる!」


 妖精の叫び声が響く。


 俺は石を手にしながら、前方へと走る。

 大量の狼のような魔物と、5人の冒険者が戦っていた。

 

「援護するっ! 」


 前方で戦っている冒険者達に向かってさけぶ。

 

――なんで地下一階に狼が!?


 

 狼の魔物は、以前にダンジョンの裂け目に落とされた先、つまり、ダンジョンのかなり下の階に出現する強力な魔物のはずだ。こんなダンジョンの入り口近くに出現するなんて……。何が起こっている?


「ハニヤス! 石礫だっ!」


――通用してくれ! 


 俺は土小鬼に叫びながら石を投げた。麻袋から頭を出していた三角帽子の精霊が瞬時に石の性質を変える。威力を増した石礫は、一撃で狼の頭を潰し、消滅させた。


 かなり、魔力を喰われたみたいだが、咄嗟の指示に、ハニヤスも加減が出来なかったのだろう。


――だが、通用する!



 前方で戦う冒険者たちの中で何人かが、俺の援護に気づいたようだ。俺は走りながらもう一度、石礫を実行する。二頭目の狼も消滅させた。


 狼の魔物と戦っている冒険者達は、狼に回り込まれないよう殿に二人の剣士を起き、後の魔術師2人の魔法とレンジャーの弓で、なんとか凌いでいるようだ。

 魔術師が作り出した炎の矢が、剣士に飛びかかってきた狼に当たるが、一度狼を後退させただけで、倒すには至らない。

 すると、魔術師は既に魔力を使い果たしたのか、片膝をついてしまった。片方の剣士が膝をついた魔術師を庇いながら、剣を振り回して狼を牽制している。


 レンジャーは弓矢を使い果たしたのか、短剣で自分の身を守るのに精一杯になり、もう1人の魔術師も魔法を唱える余裕はなさそうだった。


 でも、彼等は総勢5人。劣勢だけど、障壁でタンク役のできる俺も加わればなんとか凌げそうだ。 



「ベルさん、魔物が多い! 俺のリュックに入って!」


 妖精はリュックから上半身だけ覗かせながら、精霊箱を開けると俺に叫んだ。


『火蜥蜴もいけるわっ!』


 冒険者達の前に出ようと思いながら走っていると、殿についていた剣士がレンジャーともう1人の魔術師に目配せした。

 すると、あろう事に、膝をついている魔術師と、魔術師を庇う剣士を置いたまま、突然、三人がこちらに向かって走り出した。


 あっという間に、三人の冒険者とすれ違う。

 一瞬、先頭を走る剣士の男と目があったが、すぐに走り去ってしまった。


――あいつら! 動けないあの二人を置き去りにして逃げやがったっ!!



 頭に血が上る! 仲間を見捨てるなんて!!



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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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