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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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パーティーの連携


さあ、ダンジョン初挑戦だ。


 正確には、ケインさん、そして、カヒコとアメワと一緒に探索した事はある。


 でも、今日はチーム【アリウム】として初めてダンジョンに挑むのだ。これを初挑戦と言って誰が文句を言うだろうか。


 俺の前を飛んでいるおしゃべり妖精は、やる気まんまんで前方を見張っている

 障壁を彼女に貼ることはまだできてないから、絶対に彼女の安全だけは確保しておかないと。



           ♢



 ダンジョンをしばらく進むと、ベルさんの大きな声が響いた。


『大ネズミが一匹! 正面!』


 まずは省エネ戦法。俺の障壁で受け止めたところで、水筒から波の乙女が顔を出す。


「ミズキっ!窒息させてっ!」


 ウォーターボールが大ネズミの顔に張り付き窒息させる。気絶したところを、木の棒でトドめだ!


 完璧な連携で大ネズミを消滅させた。

 まずは、一匹目完勝。


 いくつか試した精霊たちとの連携攻撃の中で、この連携が接近戦の要となる。対単体でなら有効だが、障壁で受け止める関係上、タイマン対決に持ち込みたい。


 そこで重要になるのが、火蜥蜴の火の息吹と、土小鬼との連携攻撃である石礫だ。この遠隔攻撃を上手く使って、距離のあるうちに何体かの魔物を減らさなくてさならない。


 

『大ネズミ2匹っ! また正面っ!』


 続けて妖精が叫んだ。

 俺はベルトに括り付けた精霊箱の蓋を開け火蜥蜴に支持する。


「サクヤ!左の大ネズミに息吹!」


 他に魔物がいないかどうか警戒しながら、もう一匹の突進に備える。土小鬼は奇襲に備えて待機だ。


 大ネズミの突進を受け止めている間に、ベルが波の乙女にウォーターボールを指示する。

 ベルが俯瞰して全体を見ていてくれてるので、タイミングはバッチリだ。


 すると、火蜥蜴の火の息吹に焼かれている大ネズミの飛び越えて、また、二匹の大ネズミが現れた。



――なんか、数が多くないか??



 考えてる暇はない。麻袋の小石を2つ取り出して土小鬼に呼びかける。


「ハニヤスっ!石礫っ!」


 石礫は、土小鬼により、硬度と重さを増した石を使った投石攻撃だ。土小鬼はタイミングよく石の質を変化させ、その石は二匹の大ネズミの身体を突き抜ける。


 なんとか5匹の大ネズミの連続攻撃を凌げた。

 しかし、地下一階でこんなに連続して魔物が出ることがあるのだろうか。前にカヒコとアメワの2人と潜った時は、単発での出現しかなかったはずだ。



――なんだろう、何か異変でもおきているのか?



 不安がよぎった一方で、精霊たちと、僕ら二人の連携がとても上手くできた事に、しっかりとした手応えを感じていた。


 今の一連の戦闘での魔力消費はそれほど大きくないようだ。魔力が減った感じはまだしない。

 今回の探索では、どの位の回数、精霊との連携攻撃ができるか数えることにしている。ケインさんと買ったメモ帳に回数を書き込む。

 このメモ帳はすっかり俺の宝物だ。



――情報は宝物だからな。まずは5回。


 

「ベルさん、何か魔物の数が多い気がします! ちょっと注意していきましょう!」


『OKっ! 任せといて。』


 普段のおっちょこちょいぶりを見ている為、不安は拭えないのだが、先程の動きがベルさんの働きの信頼度を上げている。頼りになっている。



――無理な探索はしないこと。ちゃんと引く判断ができる冒険者こそ、一流の冒険者になれるのよ

 


 フィリアさんのアドバイスを心の中で繰り返し、気持ちを落ちつける。


「よし、進もう。ベルさん、気をつけて。」


 まだ、初戦だ。気を引き締めて進もう。



           ♢



 一度目の魔物との遭遇のあと、続けざまに9匹の大ネズミを倒した。1時間も経たないのに、カヒコとアメワとの探索で半日に倒した数を超えてしまった。しかも、単体ではなく、必ず複数、連続でだ。



――やはり、これは異常だ。限界になる前にダンジョンから帰ろう


 そう思い妖精に声をかけようとした時だった。



『奥から悲鳴が聞こえるわっ! 戦闘しているような音も聞こえるっ! ヒロ、どうするっ?!』


 何か起きているのか? どうする? 俺っ!


 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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