いじめられっ子、魔物に襲われる
襲われてるシーンをちょっと変更しました。
――ガルルル……
ダンジョンに響き渡る、何かが唸る声が、僕の目を覚ました。
そうだ……、ここはダンジョンの奥地、危険な魔物達がたくさんいる場所……だ!
目を開けると、僕は狼のような魔物達に、身体中至るところを噛みつかれていた。
魔物たちは、物凄い勢いで噛みついてくる。
頭、肩、腕、太腿、足………、もうこれ以上噛み付く場所が無いくらい、魔物たちが僕の身体に群がっているのだ。
しかし、魔物たちがどれだけ顎に力をこめても、その鋭い牙は僕の身体に食い込んではいなかった。
「離してっ!!」
僕がいくら大声で叫ぼうとも、魔物たちは、全く気にする素振りはなく、容赦なく僕の身体中に噛みついたまま、放そうとせず、あらゆる方向へと引き摺り回される。
少年の頼りない力では、とてもではないが抵抗することはできない。しかし、僕の身体は噛み千切られることはなかった?
魔物たちは、自分たちの思うようにいかず、イライラの極地に達している。噛みつき続けるその口からは、垂れ落ちる涎とともに、力をこめすぎた為か、それには魔物自らの血も混じっていた。
すると、後ろに控えていた白い毛並みで、一際身体の大きな魔物が遠吠えをひと泣きすると、他の魔物を押しのけて僕に近づく。
そして今度は今までと違い、白い狼ただ一頭、僕の足に噛みついて、自らの頭を勢いよく回しながら、僕の身体をブンブンと振り回しはじめた。
僕の小さな身体は、その勢いに抵抗することなどで出来るはずもなく、ほぼ無抵抗で振り回された。
「――っっっ!?」
唸ることすらできず、なされるがままに振り回されている僕。このまま遠心力で身体がちぎられるのだろうか?それとも何処かに叩きつけられるのか?
振り回され、頭に血が偏る。
もうだめか……
そう思い始めたその時――
僕はダンジョンの壁に向かって投げ飛ばされた。
ドカンっっ!
頭の先から勢いよく壁にぶつかった僕は、朦朧とする意識の中、自分の手足がまだ身体から離れてないことを確認した。
そして、相当な力により叩きつけられたはずの頭からは、傷ついて血を流すこともなく、白い以外特徴のあまりない顔も、そのままの形をとどめているようだ。
魔物たちは、どれだけ無制限に暴力を奮っても、自分たちの思い通りにらならない僕に呆れたのか、それとも飽きたのか。白い毛並みの魔物に引き連れられてこの場から去っていった。
僕は、頭に受けた衝撃に朦朧としながら、一堂に去っていく魔物たちの後ろ姿を眺めていた。
「なんとか我慢比べに勝てたのか……。」
安心したと瞬間、崖から落とされた時の身体の痛みと、魔物に壁へ投げ飛ばされた時の痛みが合間って、またもや意識を失ってしまった――
楽しんで頂けましたら、ブックマークや評価をしていただけると励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!