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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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新米冒険者、リベンジを決意する


「ヒロ君、新しいパーティーの結成おめでとう。」


 ファリアさんの祝福の言葉に、嬉しさが込み上げる。これから、ベルさんと精霊達で実績を積み上げていこう。


「ところで、チーム【アリウム】としての初仕事はどうするの?」


 それは、もう決まってる。


「僕たちの初冒険は、ゴブリン退治にしたいとおもいます。」



        ▲▽ ▲▽ ▲▽ ▲▽



 ゴブリンは弱い魔物である。ただし、繁殖力がとてつもなく高い。ダンジョン外の魔物は、一般の獣などと同じく、普通に繁殖して増える。



――ダンジョン外の魔物は人に悪さをする



 不思議な事に、ダンジョンの魔物はダンジョンから出てこない。なので、人や街に悪さをすることはない。これもダンジョンの謎の1つである。


 人に悪さをする以上、駆除の対象になるわけだが、ダンジョン外の魔物は魔石を落とさない。

 だから、冒険者達は、あまりダンジョン外の魔物討伐をしたがらない。身入りが少ないからだ。


 だが、冒険者ギルドには、国からの討伐部隊が来ない小さな村などからの討伐依頼が入る。冒険者ギルドとしては依頼をこなせなければ、信用が落ちてしまう。


 そこで、新人冒険者などに訓練を兼ねて、討伐依頼を斡旋するのだ。

 


        ▲▽ ▲▽ ▲▽ ▲▽



「ベルさん、今回はリベンジ決めるよっ!」


 俺たちは、近くの村からのゴブリン討伐の依頼を受けた。

 新月村という村の近くの洞穴にゴブリンが住みつき、繁殖しているという。


 前回は、ゴブリンにすら攻撃が通じず、亀のポーズで耐え続けることになってしまい、倒す事が出来なかった。だからこそ、仲間が増えた今、リベンジもかね今の実力を測るため受けた依頼である。


 絶対、今回は倒してみせる――



           ♢


 

 冒険者ギルドの情報通り、リンカータウンの隣村である新月村から、15分くらい歩いた所にある森の中の洞穴にゴブリン達は住み着いていた。

 彼らは、村の家畜を攫ったり、力の弱い子供や女性、年寄りなどを襲ったりするらしい。


 自分より弱い者を選んで襲うという事は、知能もそれなりにあるという証拠だろう。


 洞穴の前には、2匹のゴブリンが胡座をかいて座っている。一応、見張りなのだろうが、役割をこなしているようには見えない。

 


 今回、俺たちはしっかりと作戦を立てて来た。


 戦闘力皆無組の俺とベルさんは、基本的にサポート。攻撃は精霊たちに担ってもらう。


 ただ、何匹のゴブリンがいるかわからない。


 なので、洞穴の前で杉の葉を焚き、燻した上で、苦しくて出てくるゴブリンを狙い打ちする作戦だ。



          ♢



 まずは、見張のゴブリンをなんとかしなくてはならない。俺は、麻袋から石を取り出し、石の硬度を上げてもらうよう土小鬼に指示する。そして、石を投げた後に石の重さを増やしてもらうように頼んだ。


 ボカっ! ボカっ!


 毎日の投石訓練の成果で、しっかり胡座をかいていた2匹のゴブリンの頭に命中した。


 しかし、その威力の強さに驚いた……。


 硬度を上げ、当たる直前に三角帽子のハニヤスが重さを操作した石は、ゴブリンの頭を吹き飛ばしたのだ。脳漿をブチ撒けながら、ゴブリンは絶命する。



 魔物とはいえ、初めて人に近い身体を持つゴブリンを攻撃し、殺害した。ダンジョンの魔物と違い、死体が残る。人では無いとわかってはいるが、こうも人に近い見た目だとかなりキツい……。


 俺は、頭を吹き飛ばし血を溢れさせる、その死体を見て、込み上げるものを我慢できなかった……その場で吐いてしまった……。



『あんたね、魔物の死骸にいちいち動揺してたら、冒険者なんかやってられないわよ!』


 ベルさんは、強い言葉で俺を叱咜しながら、でも、肩に座りながら俺の頭を撫でてくれていた。



 冒険者になるなら、この程度で動揺してたいら駄目なのだろう。でも、死に対して鈍感にはなりたくないな。魔物だとしても生きて生活していたのだから――



「ありがとうベルさん。もう大丈夫。作戦どおりにやるよ。」


 前とは違い、精霊たちの助けがある。絶対うまく行く自信が湧いてきていた。



           ♢


 

 結論から言えば、このゴブリン討伐は大成功だった。


 洞穴に住んでいたゴブリンは子供も含め、14匹。杉の葉を燃やした煙に燻されて、洞穴から飛び出してきたゴブリンを火蜥蜴の炎の吐息が焼き、俺が投げた石を土小鬼が操作してゴブリンを貫く。波の乙女の出す水の玉はゴブリンの顔に張り付き窒息させ、気を失ったところを俺が木の棒で殴り倒した。

 

 ベルさんといえば、


『私は指揮官だから!』


 と言って、俺の頭の上できゃーきゃーと騒いでいた……。




        

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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