新米冒険者、道を決める
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剣士、重戦士、魔術師、レンジャー、聖職者、テイマー、薬師、鍛治士師、etc………
様々な基本職がリストに並ぶ。
「まぁ!?珍しいクラスが選べるみたいね!」
大騒ぎしているベルさんから逃げてきたフィリアさんが言うには、リストの中に、普通、人族では成れない特殊なクラスがあった。
―― 【精霊使い】――
普通、エルフのように精霊の加護を受けていて、精霊との相性の良い種族にしか就けない特殊なクラスなのだそうだ。
俺は、精霊達と契約できたことから、もしかしたら精霊との相性がかなり良いのかもしれない。
スキル【同調】も、精霊たちとの関係が深そうだし、【精霊使い】のクラスに就けば、精霊達と話ができるかもしれない。
(これは、精霊使いになるしかないでしょ!)
このクラスを見つけ、フィリアさんの話を聞き、これはこのクラスを選ぶしかないと思ったんだ。
♢
俺は【精霊使い】というクラスに就いた。
特殊なクラスだというし、これから自分がどんな成長をすることができるか。
――才能に身を委ねるだけではなく、自分のなりたい者になる為に
自分の努力次第で自分を変えることが出来ることも理解できた。しっかりと目標に向かってコツコツ積み上げてみせるさ。
「ヒロ君の才能は、精霊使いに関する才能なのかしらね……正直、周りに精霊使いに関して教えてくれそうな人にツテもないし、確実に才能が活かされるかどうかも想像つかないのだけど……。」
フィリアさんが真剣な眼差しで話かけてくる。
『あのね!自分で自分の道を決めなくて、誰が自分の道を決めるっていうのよっ!』
ベルさんが捲し立てる。
「そうよね。ヒロ君はちゃんと人のアドバイスに耳を傾ける事ができる子だから、独りよがりに進んだりしないか。心配しなくても大丈夫よね――」
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「全く央は、人の話を全然聞かないんだから」
彼女は、フンフンと鼻息荒くお怒りだった。
「あなたは、いつも自分が一番正しいと思ってるんだから。あのね、人の話はちゃんと聴くべきよ?自分にない発想や視点があるかもしれないし、相手が話してくれる事には必ず意味があると思うわ!」
彼女が続ける。
「だからね、無駄だと思っても、一回受け入れなさい。それで、やっぱり必要ないなと思ったら捨てなさい。その繰り返しが、自分を強く、大きくしていくはずよ。」
相変わらず意固地になってる俺に、笑いかける。
「頑固な人は損するわよっ!」
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―ふふっ
今、思い出せば俺は彼女に甘えてただけかもしれない。彼女のアドバイスに反発してばかりいたっけ。
今もこうやって俺の事を心配してくれる人達がいる。アドバイスを受け入れないなんて、人生損するよねっ!
でも、生まれ変わったというのに、何故かいじめにあってしまうのも、どこか人を受け入れない自分の悪い部分の影響があったのかもしれない……
いや!どんな理由があろうとも、いじめなんてものは、いじめる奴が悪いっ!
それについては受け入れられないな――
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