表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
56/456

いじめられっ子、可能性を知る


 フィリアさんが見守る中、俺は才能判定用の石板に手をかざした。


「あの……、魔力ってどうやって流すんですか?」


「石板が勝手に反応してくれるわ。ちょっとそのまま待ってみてね――ほら、反応してるわ。」


 手をかざし続けると、石板が俺の魔力に反応し、鈍く光りだした。どうやら俺の魔力を吸い込んで、分析してくれるらしい。なんか、凄い道具だな。


 さて、どんなものが見れるのか――



          ▼


クラス  無し


才能1  アンチ/▪️▪️▪️▪️

    (反対、拒絶 対抗/▪️▪️、▪️▪️)


スキル  障壁 LV52

     剣術 LV1

     採取 LV1


          ▲



 へ〜、こんな風に表示されるんだね〜。


 スキルにある【障壁】ってのが、俺が今までアンチバリアと呼んで、使っていた能力なのかな? LV52って、なんか随分と凄いような……。


 もしかしたら、【障壁】は、常にスキルが発動しちゃっているということは、スキルを使い続けているという事だから、そのおかげで、経験値がどんどん貯まって、いつの間にかレベルが上がっているのかも。

 これは良い事なのか、それとも悪い事なのか……。なかなか判断しかねる問題だけど、この能力をしっかりと使いこなせるようになれば、俺も冒険者として成功できるかもしれない。


 剣術と採取のスキルが表示されてるのが地味に嬉しい。ケインさんに教えてもらった通り、恵まれた才能がなくとも、剣術や魔法が使えるようになると言っていたのは、きっとこういう事なんだろう。

 毎日、コツコツ努力を続ければ、才能の有る無しに関わらず、目標の技術を上げることができる。この事実は、よく分からなくて、使い道が難しい才能持ちの俺にとっては、とても励みになる。


 才能については――、やはり【アンチ】という名前の才能だった。石板の表示には、よくわからないけど【反対、拒絶 対抗】っていう記載があるので、これらの能力の一端が障壁ってことなのかな?



「ナナシ君の第一の才能は【アンチ】っていうのね? 私も初めて聞く才能だし、それに、その隣にある記載も見たことのない表示だわ……。いったい、どういう事なのかしら?」



 俺も気になってはいたんだ。初めてこういった石板を見たから、みんなこういう表示になるのかとも考えていたんだけど、やっぱり違うんだね。



「どうみても、これは、ちゃんと表示できてないわ……。石板が壊れている訳ではないと思うのだけど……。」



 ◼️で表示されている部分。う〜む。これはきっと俺の隠れた才能だ。そういう事にしておこう。

 そうだよ。フィリアさんにもよくわからないみたいだし、元からよくわからない才能なんだから、俺の成長の可能性が大きいのだと思うことにしよう。

 そう考えれば、努力のし甲斐もあると言うものだ。



「それに……、この障壁スキルのLV52ってどうなってるのかしら!? 普通、スキルレベルがLV10でも充分達人の域に達していると言われているのよ……。それをLV52だなんて……。もしかすると、ナナシ君はとんでもない才能の持ち主なのかもしれないわね――」



 衝撃の事実!?


 なんと、スキルはLV10で達人でした!

 じゃあ、LV52ってことは、すでにめちゃくちゃな高レベルになってるってことに……というか、【反対、拒絶 対抗】という、見た目からしてネガティブなイメージの才能で、そこから発生したスキルが達人以上のレベルだという……、まぁ、なんとも複雑な気持ちにもなるわけだが、それでも人より大きく優れた部分があるのだと、ポジティブに考えることにしよう……。



            ♢



「フィリアさん、才能判定する事を勧めていただきありがとうございました。ぼ、僕の才能やスキル、まだまだわからない所だらけだけど、まだ第二の才能が授かっていない事も確認できました。それに、ど、努力を続ければ、色々と成長できる事もわかりましたので、コツコツと今やれる事をやり続けてたいきたいと思います。」


「私も色々調べておくわね。何かわかったら伝えるから、ナナシ君は、これからもちゃんと、マメにギルドへ顔をだすのよ?」


 フィリアさんは優しく微笑んでくれた。

 俺も自然と吊られて笑顔になって、フィリアさんに手を振ってギルドから外に出たんだ。


       

            ♢



 冒険者ギルド前の広場にある水場で水をくむ。

 

 すると、今まで寝ていたのか、胸元のポケットから顔をだしたおしゃべり妖精が騒ぎ始めた。


『――やっと終わったのね。もう、暇で暇でしょうがなかったわっ! 早く帰ってご飯にしましょ!』


「そうだね! 早く僕らのキャンプに帰ろうか!」



 改めて、自分の才能がよくわからない物であることは確認できた。やっぱり自分の才能を理解できないと始まらない。でも、確実に俺の為に役にたってくれているのだ。


 【アンチ】というネガティブな言葉に、なんとなく俺は忌避していた部分があったのだが、ちゃんと理解できれば、もしかするとイメージを一新する事もできるかもしれない。



 この時から、どうやったら自分の才能を使いこなせるようになるかについて、改めて考えるようになったんだ――




楽しんで頂けましたら、ブックマークやイイネいただけると励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ