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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第2章 ふたりぼっちの冒険
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いじめられっ子、才能をみる


俺は、今日も朝から日課の棒振りをしている。


 いつも通り、優しい剣士から教わった剣術の基本の型を繰り返す――。


 朝の森の中、棒を振る音だけが聞こえる。

 最近、この時間は、棒を振りながら、俺が俺自身について考える時間になっていた。


 僕らの1人用のテントから、リ〜ン♪と、優しい羽音を響かせ、欠伸をしながら妖精が飛び出してくる。


「おはよう、ベルさん。今日はなんだか眠そうだね。」


『おはよ。あんたの周りになんで精霊が寄ってくるのか考えてたら、よく眠れなかったのよ……。』


 そう、俺には考えなきゃいけない事がたくさんできた。


 俺の才能のこと……、精霊たちとのこと……、そして――



        ▲▽ ▲▽ ▲▽ ▲▽



 ある日の冒険者ギルドでの出来事――


「ナナシ君は自分の第一の才能はどこで調べたの?」


 いつも採取した植物の買取を担当してくれる受付のフィリアさんが聞いて来た。

 数少ない、俺を対等に扱ってくれる人物で、まだ冒険者登録のできていない俺に、色々とアドバイスをしてくれる優しい人だ。


「えっと……孤児院にいる時、教会で判定してもらった……みたいです……。」


 正直、今では教会では判定してもらえないだろう……白髪、白瞳の僕の見た目を魔物の子供と言って馬鹿にする人達の中でも、最も俺を嫌っている団体の一つだから……。



「じゃあ、生まれてすぐに調べてもらってからは、自分の才能について調べた事はないのね?」


 頷く俺をみて、フィリアさんが言った。


「前に話したと思うけど、冒険者になるには第二の才能を授かる事が条件なの。13歳になると才能が発現するので、13歳から冒険者登録できるようになるわけ。」


 フィリアさんは続ける。


「ナナシ君、君は自分の実際の歳はよくわからないんでしょ? この間、誕生日を知らないって言っていたものね。だからね、いつ13歳になるのか、いつ第二の才能を授かるのか、本当のところ、わからないわけじゃない? という事は、逆に考えれば、第二の才能を授かった時があなたの誕生日ってわけよ。」


 そうか、今まで考えた事なかったけど、よく考えればそうなるのか。

 俺は、孤児院の前に捨てられていたわけで、多分その時から歳を数えていることになっているのだろうから、実際の歳も、誕生日もわかっていないのだ。



「だからね。定期的にあなたの才能について調べた方が良いと思うの。お金はかかってしまうけど、ギルドでもちゃんと調べる事ができるわ。自分自身の事をよく知る為にも、ちゃんと調べてみない?」



 至極もっともな話だった。

 聞けば、冒険者ギルドで才能判定をするには銅貨5枚かかるとのこと。身入りの少ない俺には正直痛い出費にはなるが、薬草採取でいくらか余裕もできた今の俺なら払えない額ではない。



「――わかりました。ぜひ、才能判定お願いします!」


 俺は、これから冒険者になって、あの優しい英雄を目指す為にも、しっかりと自分を見つめ直し、努力の方向性を見定める事にしたんだ。



            ♢



「じゃあ、これに手をかざしてね。」


 銅貨5枚を払うと、ギルドのカウンターの奥にある個室へと通された。

 ちょっとした応接セットが置かれたその部屋は、普段は個人個人の折衝などにも使われるのだろうか。そこには大きめのテーブルがあり、その上には、石板のような物が置いてあった。脇には紙と鉛筆が備え付けてあり、メモがとれるようになっていた。


 フィリアさんの話によれば、この石板に手をかざし、魔力が石板に吸収されると、その人の才能やスキルなど、色々な情報が画面に表示されるらしい。それを利用者は紙に書き止めて持ち帰るのだそうだ。なんか、まだ性能はよくわからないが、前世のタブレットみたいだ。


 自分の才能について直接調べるのは初めてだ。

 よくわからない俺の才能だったが、しっかりと俺を守り続けてくれた。この才能判定で、もっと自分の事が、色々とわかると良いのだけど。


 さて、いったい俺の才能は、どうなっているのだろうか……。



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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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