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裏・道


         ▲▽▲▽▲▽▲



 一つは、中年男を封じた機械人形=ゴーレムの核となったダンジョン=インビジブルシーラの魔力核

 

 一つは、本人にその気は無かったのに、機械人形の核が引き寄せ吸い込まれた、ブリジットが鍛錬していた忘れられたダンジョンの魔力核


 一つは、古竜の子が飲み込み、その腹の中で少しずつ馴染み始めたダンジョン=ファーマスフーサを守護していた古竜王ゴズの真紅の竜石


 一つは、精霊箱の中でゆっくりとその力を回復し続ける妖精に、力を与える爽緑の古竜が残した竜石


 一つは、火蜥蜴=サラマンダーのサクヤが鍛錬を続けている、滅びたダンジョン鬼ヶ島でかき集められた魔力核のカケラ



 先の4つは、すでに役割を与えられ、悪なる神の使徒の望む混沌王ヒルコの封印には使えない。

 しかし、5つ目に挙げたサクヤの鍛える魔力核は、その材料となる魔力核のカケラが少ない為、これもヒルコの封印には役不足である。


 もっとも、2つの魔力核をその命の源としている中年人形は、自分の魔力核をヒルコの封印に使う事についてやぶさかではないのだが。

 

 ただ、それに絶対反対であるナギとナミの手前、それを口にする事はとりあえず辞めた。


 ならば、どうするか。


 そこで提案してきたのが、森の女王アエテルニタスであった。



「――どうだろう。試しに、ダンジョン産の魔石が素材に使えないかどうかを試してみないか?」


 森の女王の話はこうだ。

 ダンジョン産の魔物を倒すと魔石が残る。

 その魔石をサクヤが鍛錬し続けている魔力核の材料として使ってみようというのだ。

 元々、魔物が残す魔石は、ウカ神が封じられた魔力核の魔力を使って作られている。元が同じであれば、魔石を魔力核に還元できるのではないか。


 森の女王は、過去に一度、魔石を集めて魔力核を作ることが出来ないか、実験したことがあるらしい。

 その時は、相当量の魔石を集めることができず、魔石の結合はできたものの、魔力核には程遠いもしか作れなかったそうだ。


 しかし、今はサクヤの鍛える魔力核がある。

 小さいとはいえ魔力核なのだ。

 これに、魔石を結合し、魔力核として還元できれば、ヒルコを封印するだけの力を持つ魔力核に成長させる事が出来るかもしれない、というのが森の女王の考えだった。


「――うむ。ワシもその方法はいける気がするのう。」


 車椅子に深く身体を預けたドワーフ王が、森の女王の提案に賛成する。

 

『研究馬鹿の二人がいけると言うのなら、やらねぇ手はねえだろ。なあブラド。』

『そうだな、過去に一度失敗しているという点は気になるが、それでも勝算があるのであれば、やってみるべきだろう。』

 

 表情の無い機械人形同士で向かい合う姿は、なかなか滑稽ではあるが、氷狼人形と吸血鬼人形が()()()()真剣な表情で話し合っている。


『ならなんだな、俺んとこかブラドのとこで魔物を狩ることになるか。』

「そうじゃのう。今、魔石を落とす魔物が生まれるダンジョンは、フェンリル、ブラド、それにヒルコの所だけじゃからな。」

『うむ、だが我のダンジョンに現れる魔物はアンデット系。機械人形たちだけでは負が悪いのではないか?』

「そうね、ま、やり易さでいえばフェンリルの所でしょうね。」

『やり易いって………。なんか馬鹿にしてねえか?』

「そんな事ないわよ。ただヒロ君たちが短期間で魔石を集めるのには、フェンリルの所が適してるでしょ、っで話。」

『けっ、なんか引っかかりはあるが、まあ、しょうがねえ――』


 俺たちを置き去りに、すでに話がまとまってしまった。実際にやるのは俺たちなのに………。



『――ただしだ。ウカ様の魔力核に影響が出たなら、即効やめさせっからな!』


 フェンリル人形が安いチンピラのような格好で俺たちを睨みつける。まあ、顔が無いのでまったく凄みは無いのだが。



「あら、気づいちゃった? まあ、魔力核に負担はかかるでしょうから、ある程度魔石を集めたら、ブラドの所に移ればいいわ。それなら、負担も半分こでしょ。」


 森の女王のなんとも適当な言い分に、2人の顔無し人形が色めき立つ………、が、すぐに諦めたようにため息をついた。


『わかったわかった。その感じでいい。なあ、ブラド。』

『………しょうがあるまい。我ら使徒の願いを叶えるためでもあるからな。』


 使徒の願い――ヒルコを封印して昔の優しいヒルコに戻す。そして、ヒルコが取り込んだ狐神ウカの魔力核を解放し、あわよくばウカ神をダンジョンの封印から助け出す。


 ハッキリと言われた訳ではないが、これまで長い付き合いの中、使徒たちの話の断片を繋ぎ合わせていけば、だいたい想像がつく。かなり大変な内容だけど。


 ただ、ハッキリしているのは、第一段階のヒルコの封印が成功しなければ、その後の展開はあり得ないという事だ。


 俺自身は自分の核を使う事に躊躇いはないのだが、他の方法を考えてくれた使徒や俺を心配してくれる仲間の為にも、この提案を受け入れるべきなのだろう。



「――わかりました。俺たちは、ダンジョン=リンカーアームに向かいます。そして、ある程度の魔石を集めたら、ダンジョン=レッチェアームに行き、魔石を集めてきましょう。」

 

 ナギとナミ、アメワが和かに頷く。

 今回の旅は、4人での冒険。

 さっさと魔石を集めて、ヒルコの所に殴り込みしてやろうじゃないか!

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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