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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
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見習い冒険者、棒を振り続ける


 次の日も朝から剣の基本の型を繰り返した。


 やり慣れない練習。

 前日の疲れもあり、最初から木の棒が重く感じ、腕が震えている。ケインさんは、それを見て早めに訓練を切り上げた。


「ナナシは体力不足だな。これからも毎日、基本の型をやり続けろ。簡単にへばらないように、力をつけるんだぞ。」


 ただし、無理はするなよ、と付け加える。

 冒険者は身体が資本なんだから、無理なら引くという判断が出来なければならないと。なるほど、本当にその通りだ。



           ♢



 その後は、ケインさんと色々な事を話して過ごした。


 世の中の人々は、たとえ自分が望む才能に恵まれなくとも、その者の行い次第で、剣術や魔法などの力を使えるようになることがあるという事。ただし、その為には、長く辛い努力を続けていかなくてはならないこと。


 魔力という物は、使えば使うほど総魔力量が増えていくということ。授かった才能により、生まれた時からずっと魔力を常に使い続けている俺は、もしかしたらかなりの魔力総量になっているかもしれないということ。


 それを確認する為には、まずは今『アンチ』の能力を使いこなして、常時発動してしまっている状態から、自らの意思でその能力を発動できるようにすること――



 俺の知らない知識や考察を惜しげもなく教えてくれる。この人には一生頭が上がらないな。


 それにしても……


 こうやって楽しく話をしていると、ケインさんが自分の兄や父親だったらと思ってしまった……。



――そうだっらたどんなに嬉しいだろうか



           ♢



 それからケインさんは、訓練の合間に俺を冒険者ギルドに連れて行き、受付のフィリアさんを紹介してくれた。

 この間、無知な俺が嘘をついて困らせてしまった相手だった為、かなり心苦しく、恥ずかしかったが、ファリアさんは何事もなかったような笑顔で対応してくれた。


 彼女はケインさん達がこのリンカータウンに来た時から担当している受付譲だそうで、冒険者へのアドバイスに長けた信用できる方だよと紹介された。


 本人は、「そんな、そんな。」と謙遜していたが、周りから白い目で見られている上に、嘘をついたせいで逃げるようにギルドを出る俺に、わざわざ追いかけて来てアドバイスをしてくれるような人だ。きっと、とても優しい女性なんだろう。


 未だに人に恐怖を感じる俺に、優しく、「よろしくね。」と握手してくれた。


 信じられる人が1人増えたかな……。



           ♢



 次の日も、基礎訓練と基礎知識の習得。

 ケインさんと買ったメモ帳は、どんどん書き込みが増えていく。


 その日も、あっという間に、一日が終わった。

 ケインさんを独り占めできる最後の日の終わり。



 そして、明日、【アイリス】のメンバーと顔を合わせる。

 俺は、期待と不安でなかなか眠れなかった――

 


 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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