ぼっち少年、身の振り方を考える
♢
あ〜ぁ、ベルさん……せっかく友達になれるかと思ったのに……。
あっという間に飛び去ってしまった妖精を、慌てて追いかけたけど、結局追いつくことばできなかった。
いったいどこに飛んで行ったのか、まったく、見当もつかなかった。
『――じゃあ、またね。』
おしゃべりな妖精の別れ際の最後の言葉。
( また会えるかな? )
森の入り口まで戻り草むらにどかっと座る。
去り際の挨拶を信じて、期待して待ってみよう。
そして、今度こそ声をかけるんだ――
――僕と友達になって。
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さて、草むらに寝転んで、改めてこれからの自分の事について考えることにした。
現状、僕は身一つの状態。
ボロボロの服にボロボロのブーツ。
お金は全く持ってない。
頼りになるべき、僕の才能の『アンチ』は、まだまだ、よくわからないところだらけだ。
一応、崖から落ちても、魔物に襲われても、衝撃による打撲だけですむくらいには強力な能力だ。
跳ね返すように念じたら、魔物の攻撃を跳ね返すこともできたし、とにかく固くなるように念じたら、分厚い壁のようなら役割もできた。
つまり、この『アンチ』という才能の能力は、形? 性質? について、変えることができるようだ。
この才能があれば、危険なダンジョンに潜っても、自分の身を守りながら、素材集めをしたり、魔物を倒して魔石を集めたりできるんじゃないだろうか?
そうすると、問題は、13歳にならないと、冒険者ギルドでの冒険者登録ができないという事。
冒険者にならないと、荷物持ちのポーター以外ではダンジョンには入れない。
また、この間の三人組のような冒険者に当たってしまったら最悪だ。
どうにか年齢を13歳と誤魔化して冒険者登録できないだろうか……。
前世の記憶で考えると、俺は35歳のおっさんだったわけだから、こちらで過ごした年月を合わせたら40歳を優に超えている。立派な大人なわけだし。
というか、そろそろアラフィフじゃないか……。
実際、街の人の中に、嫌われ者である俺の年齢を知ってる人なんかいないだろう。
考えてて悲しくなるが、そのくらいに俺の存在は街で嫌がられていた。俺と何らかの関係を持とうとする者は全くいなかったのだから。
孤児院でも、仲間とは生活に必要な会話以外は皆無だったし、世話人の大人達も俺の存在を良くは思っていなかったようだし……、俺と気軽に話すような大人はいなかったもの。
元々、みんなからは嫌われているだけで、誰からもよく知られてない存在だ。
……よし、当たって砕けろだ!やってみなくちゃわからない!
このままじゃ、ベリーしか食べられず、ただでさえガリガリの身体が、痩せすぎてお腹と背中がくっついちゃう!
俺は13歳と年齢を誤魔化して、日々の生活の為、かつてからの憧れの職業。
冒険者になろうと決めたんだ――