ぼっち少年、食べ物を探す
拙い文章ですが、読んでいただいてる皆さんに感謝です。少しづつ手直ししながら進めています。楽しんでいただけたら幸いです。
「腹減ったな〜……。」
ケインさんのパーティーに助けてもらった際、簡単な携帯食を貰って食べてから、水しか飲んでいない。孤児院にいた時でも、それ程食事事情は良くなかったとはいえ、ここまで食事にありつけない事はなかった。
――金は無い
――帰るところは無くなった
――今の俺には家族もいない
――共に語らう友人もいない
ここまで無い無い尽くしなんだもの。かえって諦めもつくもんだ。どんどんやれる事やってみるしかないでしょう!
しかし……まずは何かお腹にいれなきゃ。
俺は、森の中に入って、食べ物を探すことにした。
「木の実でも見つけることができれば……。最悪、その辺の草でも食べようか……。」
▼△▼△▼△▼△
大人だっだ時の知識といっても、スーパーに行けばなんでも揃うんだもの……。山や森の中にある野草やキノコの知識なんか全く無いのよ。
こんな事なら、サバイバルの本とかよんでいればよかった……。
いや、無理無理、俺は完全にインドア派だったし。
あてもなく、うろうろ森の中を食べ物になりそうな物を探し続けていた。そんな中、ふと――
――ちょっと!こっちみなさいよ!
人の声が聞こえたきがしたんだ――
下ばかり向いて、食料になりそうな物を探していた俺は、ふと顔を上げて周りを見回す。
しかし、あるのは大きな木ばかり。
人なんて影すらみあたらない。
「気のせいだったのかな……。」
そう呟いて、また食料探しの為に視線を下げようとしたその時、目の前にある大きな木のウロの中に、モゾモゾと動く物が見えた。
「木の実が動いてる? なんだろ?」
よくよく見ると、小さな手? に胡桃の実を沢山かかえている妖精? が木のウロから出ようともがいている。
胡桃をたくさん抱えすぎている為、穴に詰まって出ることができないようだ。
『ちょっとあんたっ! そこの人族っ! 聞こえないの!? ボーっと観てないで、手伝いなさいよっ! ここから出れないのよっ!』
今度ははっきりと声が聞こえた。
さっきの声は気のせいじゃなかったようだ。この妖精? の声だったみたい。
たくさん抱えた胡桃のせいで顔も見えないが、キャーキャー、姦しい声で大騒ぎしている。
「あのさ、妖精? さん……。 一度に運ばずに、何度かに分けて胡桃を運べば、簡単に出られると思うんだけど……?」
『は? 何言ってんの? えっ……あら、ほんとだ……なんだ、簡単じゃない! 早く言いなさいよっ!』
妖精は、おずおずと胡桃を木のウロに戻して二個ずつ抱えて運び始めた。
あれっ……?
これは、あれだ。
きっとお馬鹿さんな妖精だ。