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それぞれの目標へ


           ♢



「随分と盛り上がっていたようですけど!」


 サムと一緒にギルド長室から出ると、待ち構えていたかのように、受付譲のフィリアが寄って来た。

 かなり長い時間、部屋で話していたので、心配していたようだ。


「あはは、フィリア君。 僕たちだけで楽しんでしまって悪かったね。」


 サムは、適当に誤魔化しているつもりのようだが、かえってフィリアの気持ちを逆撫でしているようだ。でも、氷狼の話をするわけにはいかないので、俺たちも笑って誤魔化すことになってしまった。


 ギルドの出口まで見送るサムに、しっかりと頷き、改めて、今後の計画をやりきる決意をする。これから色々と忙しくなるぞ。




        ▼△▼△▼△▼△▼


 

 氷狼の話が終わった後、今後俺たちがどう行動すべきかについて、みんなで話し合った。

 

 ヒルコに対抗する為には、メンバーそれぞれ、まだまだ力が足りない。特に、新米冒険者のナミとナギの2人は経験も実力も、不足も不足、まさに初心者なのだ。

 そこで、自分たちの才能、スキルをしっかりと使いこなす為に、同じスキルを持つ使徒に訓練を受けるのが良いということになった。



 先ずは、フェンリルさん曰く、『ブラドの奴も、いい加減復活してるだろ。』という事で、ナギをダンジョン=レッチェアームの吸血鬼王の下に送る。


 ナギは吸血鬼王の眷属であり、眷属になったことで与えられたスキル、【血操】を使いこなす為にも、吸血鬼王に指導してもらえることは、これ程良い訓練相手はないだろう。

 ナギには、嘆きの妖精=バンシーのヒンナを道案内兼、吸血鬼王との繋ぎ役として同行させる。幸いな事に、ヒンナは人形に憑依している形でこの世界に徴現している為、俺と離れても大丈夫なようだ。


 そして、ナギ一人では、心配なので、ライトとソーンが同行してくれる。この2人が一緒ならば、全く心配ないだろう。



 次に、『お前は、俺の眷属だからな。』という理由で、ナミはダンジョン=リンカーアームにて、氷狼の下で訓練する事になった。


 やはり、ナミも氷狼からスキルを与えられており、同じスキルを使いこなす氷狼に指導してもらえれば、かなりの訓練になるはずだ。

 また、眷属になった事で、身体能力も上がっているようだし、氷狼に近接戦闘についても、しっかりと訓練してもらえればと思っている。最前線で戦わなくてはならない場合、俺がずっと守り続けることはできないから。


 さて、いっぽう、こちらのダンジョンには、氷狼を嫌いだと公言して憚らない、アメワが一緒に居ることになった。

 アメワ本人も、今、付与魔法を訓練していることから、【獣体術】というスキルでアタッカーを担うことになるであろうナミは、格好の付与魔法の練習相手になると言っている。魔法をかけるタイミングや、付与の種類、掛け合わせなど研究したいらしい。

 こちらには連絡役に、霜男=ジャックフロストのフユキを置いていく。元々、氷狼の配下であった為、ここでの徴現は問題ないそうだ。



 最後に俺だが、ギルド長のサムから預かった人形を持って、ダンジョン=インビジブルシーラに行き、使徒であるハイエルフのアエテルニタスに会う事になった。


 アエテルニタスは、研究者肌の人物で、長年、ヒルコを移し替えて封印する為の人形、機械人形=ゴーレムの研究を続けているのだという。

 ちなみに、サムから預かった人形も、機械人形=ゴーレムだと言うが、まったく動く気配はない。ただ、ダンジョンに行けば、人形が使徒の所に案内してくれるらしいので、信じて持っていくしかない。


 何故、ヒルコの封印に人形を使うのか、その理由は使徒本人に聞かないとわからないと言われた為、直接理由と利用方法を聞いて、その機械人形=ゴーレムを譲り受けることが目的になりそうだ。


 こちらは、おしゃべり妖精とのコンビである。いつも通り、賑やかな旅になりそうだ。


『邪魔者無しで2人っきりでの旅なんて、久しぶりね!』なんて言うと、何故かナミとナギから講義の声があがるが、当のおしゃべり妖精はどこ吹く風。それどころか、益々2人を煽る始末で、しばらくの間、耳を塞ぐことになったけど……。




        ▼△▼△▼△▼△▼




 大きなリュックを背負い、リュックの中には、サムギルド長から預かった人形が入っている。そのリュックを改造して、右手側には魔法剣を、左手側にはランタンがくくり付けられており、また、ベルトの右側には麻袋を、ベルトの左側には凝った意匠の小さな箱を括り付け、肩には袈裟懸けに水筒をぶら下げている。

 

 久しぶりの俺の完全冒険スタイルは、相変わらずの遠足ハイキングスタイルだが、頼れる精霊たちと一緒に冒険にいけるのだ。多少の格好悪さは関係ない。


 

「――それじゃあ、3ヶ月後に家でまた会おう。みんな、頑張って!」


 みんな頷き合い、右手の親指を立てて笑い合う。いつからか、俺たちチーム【アリウム】の揃いの挨拶になったサムズアップを交わし、それぞれの目的地目指して歩き出す。

 

 さぁ、俺も頑張らなくちゃ!!


         




 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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