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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
15/455

いじめられっ子、冒険者に出会う

  

            ♢



 狼風の魔物には我慢比べで勝てたわけだが、その後も、色々な魔物に出会ってしまった。


 水牛のような魔物に突き飛ばされたり、角が生えたウサギに突撃されたり、デッカいカエルの長い舌を何度も打ち付けられたり、大きなネズミに体当たりされたり……。

 魔物に会うたび、アンチバリアに反発の意思を込めて維持し続けて、なんとか我慢比べに勝ち続けた。

 

 反発の力は思いの外役に立ち、自分よりも質量の軽い物であれば、その弾力性で跳ね返すことができた。ただ、自分より大きな魔物に関しては、どうしても力負けしてしまう為、逆にその弾力性で大きく跳ね飛ばされてしまうことになった。


 そこで、バリアがただただ固くなるように念じて、四つん這いで踏ん張り続けたり、弾力を持つように念じて、上手く跳ね飛ばしてもらって遠くに逃げたり、分厚くなるイメージで狭い通路を塞いで侵入を防いだりと、様々に工夫をしてしのぎ続けた。


 そんなことを繰り返し、なんとか、2階ほど階段を登ることかできた。


 しかし、魔物との遭遇を耐え切る度に、アンチバリアの副作用である酷い頭痛と吐き気に襲われてしまう。そうなれば、どうしても、多く休みを取らなくてはならなかった。


 荷物運びのポーターをアルバイトとして続けていた為、小柄なこの身体だとしても体力はある方だったはず。でも、何度も繰り返す頭痛に、精神的にはどんどん疲労していき、だいぶ苦しい状態になっていた。


 魔物との遭遇、頭痛を堪えてお休み、再びゆっくりとダンジョンを進む。この繰り返しでは、どうしたって素早くダンジョンを進むことはできない。


 なんとか、かんとか、3階目の登り階段を見つけたところで、疲労がピークに差し掛かり、いい加減その場から動けなくなってしまった。


 膝を抱えて、その膝の間に顔を埋める。



――苦しい……、誰か助けてよ……。



 じっとしていると、色々と嫌な考えが巡ってしまう。

 理不尽に、俺を崖へと突き落とした冒険者達への憎悪が湧いてくる。

 俺をイジメた連中への憎悪が湧いてくる……。


 そんな負の感情に心が支配され、深く、深く、ドン底へと落ちて行きそうになった時、ふと前世の嫁さんが良く言っていた言葉を思い出した――




 「因果応報っていうでしょ。悪い事をすれば悪い事が。いい事をしていたらいい事が返ってくるものよ。」




 今はもう会うことのできない、彼女の笑顔が目に浮かんだ。


 そうだよな。人の行動に左右されて、悪いこと考えてばかりじゃダメだよな。自分で自分が良いと思った事をして、自ら良い方向に道を切り開いていかなくては。


 他人を恨んでばかりいたって始まらない。

 自分の行動次第で良い道も悪い道も選べるはず。



――よしっ!



 両頬を叩き、気合いを入れて、もう一度、顔をあげようとした……その時、突然女性の声が聞こえてきた。



 「こんな所に子供?! どういう事?!」



 顔をあげると、目の前を五人組の冒険者達が俺の前を囲んでいた。


 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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