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新米冒険者と訓練


 今、俺たちチーム【アリウム】は、7人全員でダンジョン=リンカーアームを訪れている。


 現在、地下5階。大ネズミや角ウサギ、魔犬などの魔物が中心で襲ってくるのだが、基本的には3体程度の群れでしかない為、俺たちの敵ではない。

 しかし、今日はナミとナギという、2人の新米冒険者の訓練と、俺の新しいスキルの実験を兼ねている為、気は抜けないのだ。


「ナギ、疲れてないかい? みんながいるとはいえ、初めてのダンジョンだ。無理は禁物だぞ。」


「へーきよ、へーき。 大体、魔物はみんなが簡単に倒しちゃうし、道も全部みんなが覚えてるし、私の出番なんかないじゃない!」



「ナギちゃん、初めての冒険なんて、そんなものよ。普通、新米冒険者はみんな荷物持ちから始めて、ダンジョンという場所に慣れていくものなの。荷物持ちは、魔物と戦ったりしないでしょ?」


 俺はソーンの言葉に頷く。そうなんだよな。俺もポーターしながら日銭を稼いでいたけど、あれは冒険者になる為の経験を積ませる意味もあったんだよな。


「そんな事言ってもさ、つまらないものは、つまらないよ……。」


「ナギは新米なんだから、私たち先輩の意見はしっかりと聞かなきゃだめよ〜。」


「むぅ〜っ! ナミだって、まだ冒険者になって半年じゃん! 先輩面しないでよね!」


 賑やか組の2人はダンジョンの中でも変わらないようだ。危険なダンジョンだというのに、まったく緊張感が足りないな……。


「私はスキル【獣体術】があるから、直接魔物と戦えるんです〜! 残念でした〜。」


「むぐ〜っ!?」


 まぁ、半年だけの先輩とはいえ、ナミは何度もダンジョンに潜っているのだ。自分のスキルへの理解度は上がっていて当たり前だ。実際に魔物との戦闘も経験しているわけだし。

 それにしても、喧嘩する程仲がいいとは言うけれど、お互いにライバルみたいな関係になってるのかな。


『ほらっ! じゃれあってないで! 前から魔犬が3匹来るわよ! ちゃんと防御隊列とって!』


 こちらも賑やか組の1人だが、おしゃべり妖精は、しっかりと俺の頭の上で斥候役をちゃんとこなしてる。さすが、俺と一緒に経験を積んできた冒険者だね。まだE級なんだだけど……。




        ▼△▼△▼△▼△▼

        


        ▼


才能3  ムービング

    (移動、動かす)


スキル  操作 LV1


        ▲



 これが、俺が授かった新しい才能と、それによって生まれたであろう、新しいスキルである。

 昨日の夕食の際にナギが嬉々として発表した後、歴史学者と聖職者の2人は持っていた酒を溢してしまうくらい驚いていた。


「――ほんとに第3の才能なの!?」


「――現代の冒険者で、第3の才能を授かったという話は聴いた事がない……。」


 まぁ、俺のように、才能を授かった事を非公表にしている可能性もあるだろうし、まったく居ないとは思えないけど、実際、珍しいことには間違いないのだろう。



「とにかく、新しい才能とスキルは、何かを動かす事ができる能力かなとは思うのですが、お二人はどう思いますか?」


「そうだね、色々と考察はできるが、おそらく君の考え通りだと思うね。やっぱり君がその才能とスキルを理解する事が必要なのは間違いないね。」


「そう考えると、ナミとナギが持つ【操り人形】と通じるものがあるかもね。」


「そうか、どちらも似たようなニュアンスだね。色々と一緒に試してみましょうか――」

 


        ▼△▼△▼△▼△▼



――ということで、ナミとナギ、それと俺のスキルを試しながらここまで進んできている。



「ナミ、ナギどうだい。何かを操作出来そうな感覚はあるかい?」


「ん〜……、全然わからないよ〜……。」


「私も全然わからない……。」


 まぁ、一朝一夕で能力を使いこなせるようにはならないよね。でも、俺には少し感覚があった。

 ハニヤスに石礫を命じた時の事だ。投げた石に、ハニヤスの加重操作された感覚を感じた。そう、石が感じた変化を俺が感じたのだ。


 【ムービング】(移動、動かす)という意味を素直に考えれば、何かを動かせるということ。そして、【操作】というスキルに通じているのなら、やはり物体を動かすスキルであろうと想像できる。

 そして、俺が投げた石の変化を感じたという事は、その石に俺の意識が乗っているように感じるのだ。


 もし、投げた石を自由に動かせるのなら、命中率を格段に上げることができる。これだけでも、俺の冒険者としての活躍の幅が広くできるのだ。


「俺は少し感じとれた部分もあるから、2人も色々と試してみようよ。」


 そう、自分自身で感じて理解するしかないのだ。

だが、俺と同じように何度か石を投げさせてみたが、全く感じるものはないようだ。



「――ケイン達を操っていた時の事を考えると、魔力の糸みたいなものを作ることから考えたらいいかもしれないね。」


 経験豊富な魔術師の意見は的確である。その知識量は常人の比ではない為、本当に頼もしい先輩だ。ただ、覚えた知識を頭の中で探す作業は苦手らしい。そこまでできたら、コンピューターだもんね。



「まぁ、慌ててもしょうがないね。」



 何せ初心者も初心者、これから経験を積み上げていく若葉たちなのだから――



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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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