表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
146/456

夕食会議


 5人で囲む食卓は、お祝いの席になった。


「ナギちゃんの冒険者としての第一歩に乾杯!」



 この世界、飲酒に対する年齢制限はない。ただ、13歳という年齢が、大人の仲間入りという認識がある為か、どの家庭でも13歳にお酒デビューというのが常識のようだ。

 成人扱いと言うものの、ナギには、まだ酒は早いと思うのだが、すでに甘い葡萄酒を渡されている。



「ありがと〜! これで私も大人の女性よ! ヒロ兄、もう子供扱いとかしないでよね!」


 帰り道の魔晶のやり取りから、なんだか知らないけど俺に対する当たりが強く感じるが、これ以上ヘソを曲げられても困るため、当たり障りの無いように、言葉を選んで応える。



「わかったよ。ナギは立派な大人だよ。」


「立派な大人じゃなくて、大人のじょ、せ、い! 大人の女性だってばっ!」


 このやり取りの何が可笑しいのか、ライトとソーンは口を抑えて、必死に笑いを堪えている。ナギはそれに気づくと、ますます顔を赤くして騒ぎ始めた。


「ちょっと! ライトさんも、ソーンさんも何が可笑しいのよ! 失礼しちゃう!」


 まぁまぁと、笑いを堪えながらソーンがナギの前に小さな箱を置く。


「私とライトからのお祝いよ。大事に使ってね。」


 誕生日のプレゼントが貰えるなんて、思ってもいなかったのか、ナギは両手で口を抑えて驚いている。


「これからは、僕らと一緒に冒険に行くようになるからね。冒険に出かけても使えるようにと、ソーンが選んでくれたんだよ。」


 ナギが箱を開けると、中には赤いリボンのついたバレッタだった。



「あなたの綺麗な白い髪に、赤はきっと映えると思うの。良かったら使ってね。」


 ナギは、そのストレートの白髪を肩まで伸ばしている。ただ、これからは激しい戦闘なども覚悟しなくてはならないので、ソーンが気を利かせてくれたのだろう。年長組の2人の気遣いには、頭がさがる。



「――ありがとう。大事にします。」


 自らの髪を後ろでまとめると、その場で早速バレッタを着ける。白い髪に咲く花のように、赤いリボンが見事に映えた。


「可愛いよ。似合ってる。」


 そんな俺の言葉に、一瞬微笑んだと思うと、すぐに目を細めて俺を睨む。


「だから、大人の女性なんだから、そこは、可愛い、じゃなくて綺麗だよ、でしょ! まったく。」


 はぁ、素直な感想のつもりが、なんだかお気に召さなかったご様子だ。俺は、頭の上に両手を広げて、服従のポーズ。もう、お手上げです。


 その姿を見たライトとソーンは、今度こそ堪えきれずに笑っていた。



            ♢



「そうか、第二の才能はやっぱり上書きされたままだったのか……。なら、その才能を活かす方法を考えていかなくちゃね。」


 冒険者ギルドでのやり取りを報告すると、【考察】のスキルを持つ歴史学者は思案を始めた。


  

        ▼


クラス  レンジャー


才能1  グロウ

    (花栽培)


才能2  ◾️◾️◾️/パペット

    (糸操り)


スキル  栽培   LV1

     操り人形 LV1

     血操   LV1


         ▲


 これが現状のナギのステータスである。


「第2の才能が黒塗りで隠されていたという事は、元々ナギちゃんに授けられる予定だった第2の才能があったはずなんだろうけどね。」


 まぁ、現実には今ある才能、スキルを使って冒険していくしかないのだ。将来的に、俺のように二つの才能が使えるようになるかもしれないし。


「とりあえず、【血操】というスキルは、吸血鬼王に使い方を教えてもらいたいものだね。」


 未だに復活できていないのか、まだ吸血鬼王とは再会できていない。機会を作って、再びダンジョン=レッチェアームに行かなくてはならないな。彼に会う理由が一つ増えた。


「【操り人形】というスキルは、ナギちゃんがヒルコの仮面をつけて操られていた時、ケインたちを魔力を通した糸で操っていた能力だと思うのだけど、現状使い方の検討がつかない。」


 そう、あの時、ケインさん達は俺たちの目には見えない糸で操られていた。あの技術は、本人が理解しない限り使いこなすことはできないだろう。俺のスキル【アンチ】のように。


「この【操り人形】というスキルについては、ナミちゃんにも上書きされているんだから、僕の方でもっと調べてみるよ。文献を色々と探してみるね。」


 こうなると、ナギには、すぐに冒険に役立つ才能、スキルは見当たらない。基礎的な訓練を繰り返して、レンジャーとして活躍できる道を探るべきだろう。


「ナギ、僕の宝物の手帳をしばらく貸してあげるよ。一緒に勉強しながら、君にプレゼントした手帳に、自分なりにまとめていこう。」


「僕も冒険に必要な知識が乗ってる本を探しておくよ。大丈夫、少しずつ成長すればいいさ。」


「まぁ、私はボチボチ頑張るよ。絶対、みんなな役に立って見せるから……。それより、もう一つ凄い発表があるの! ね、ヒロ兄。」


 先輩たちからのアドバイスに、神妙な面持ちで耳を傾けていたナギだったが、話が一段落した所で、まだ発表していなかった話を差し込んできた。


「なんと! ヒロ兄が第3の才能を授かりました!」


「「―――っ!?」」


 

 やっぱり、驚くよね。まぁ、俺が一番驚いたんだから――

みなさん、評価やコメントなど、ぜひぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ