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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
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いじめられっ子、再び歩き出す

   

            ♢



 しばらくの間、頭痛と吐き気を堪えていると、時間と共に楽になってきた。その間、さっきの魔物たちが戻ってくることもなく、また、他の魔物が現れることもなかった。

 きっと、あの白い狼の魔物がこの辺りのボスなのだろう。ボスの命令は絶対なのかも。



 それにしても、この酷い頭痛と吐き気。これはバリアを張り続けた事による副作用か何かなのだろうか?


 今までのナナシとしての人生、バリアの事なんか知ることもなく、それこそ何も考えず生きてきた。 今回のようにバリアを意識して使ったことなんか無かったのだ。でも、普段に生活している時でも、こんな感じの頭痛には悩まされていた。ただ、動くこともできないくらいに酷いのは、今回が初めてだけど。

 

 常に頭痛を感じていたという事は、何も考えずとも自然にバリアを発生させていたという事なのだろうか。


 確かに、石をぶつけられた時や崖から落とされた時、自分自身でバリアを意識して張っていたなんて事は一度もない。それでも、バリアによっては俺の身体は守られていたのは間違いない。


 という事はだ。俺は、生まれた時から自然と、周りから自分の身を守る為にバリアを貼り続けていた事になる……。

 

 俺はそんなに周りの者が怖かったのか……。

 無意識のうちに、周りの世界を拒絶し、遠ざけていたという事なんだろうな。周りに拒絶される前に、自らが周りを拒絶していたという事か……。

 前世のイジメられた経験が、とんでもないトラウマとなっていたのだな〜……。


 ともあれ、今はこの『アンチ』という才能を最大限に活かして身を守り続けるしかない。


 なんの捻りもないけど、この能力を【アンチバリア】と名付けた。実際、大人になっても、バリアっていう響きは、絶妙に心をくすぐるものがあるもんね。


 前世からのトラウマによって授けられたとはいえ、俺にとっては唯一身を守る為の能力だ。どうにかして使いこなして、必ず生き残る。



            ♢



 そろそろ、動けるようになってきた。

 膝に手をやり、ゆっくりと立ち上がる。

 改めて周りを見渡してみたが、今のところ、さっきの魔物は顔を見せない。でも、いつまた戻ってくるかもわからない。動けるなら、少しでも前に進むべきなのだ。



「よし! 行くかっ!」


 誰も応える者はいないが、ダンジョンの暗闇に向かって大声で叫ぶ。お尻や膝の埃りを手で払い、パンパンとわざと大きな音を立てた。


 頼れるものは、自分自身のみ。しっかりと気合い入れ直す。

 魔物達が戻って来ないうちに、俺は、地上を目指して再び歩きはじめた――



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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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