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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
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いじめられっ子、初めて魔物と戦う


 反発の意思を強く込めたバリアは、しっかりと魔物の突進を跳ね返してくれている。

 魔物の牙も、爪も、体当たりも、どんな攻撃だって、俺の身体に直接当たりはしていないのだ。

 衝撃は感じるが、まるで分厚いゴムでにでもなったように、何度も何度も反発してる。



 よし!これならなんとかなる……なんて簡単には行かなかった……。



 魔物達の攻撃には耐えられているんだ、しっかりと。でも、どれだけの数いるんだろう……。この魔物達は……。



 一度目の出会いの際に、狼風の魔物達には、自分たちの暴力が全く俺に通らなかったことに、相当イライラが溜まっていたのだろう。

 狼風の魔物達の群れは、俺の四方八方をしっかりとり囲んだ。そして、俺を中心にグルグルと周囲を歩きまわる。魔物達は俺の逃げ道を塞ぎ、絶対に逃げることができないようにしながら襲ってくるのだ。

 

 そう、まるで逃げ出す穴なんてない……。



 でも、俺だって相当な覚悟をもって魔物達に挑んでいるんだ! 今回だって俺とお前達との根比べだ! 絶対に負けてなんかやらない!



 俺はその場にうずくまり、頭を抱えた状態で、アンチの能力によるバリアに対し、常に反発の意思を込め続けた。


 体当たりを受ける。

 牙で噛みつかれる。

 爪で引っかかれる。

 また、体当たりを受ける。

 牙で噛みつかれる。

 爪で引っかかれる。

 


 何度噛みつかれたって、何度引っかかれたって、俺のバリアは魔物達の攻撃を跳ね返し続けた。

 強い衝撃に、俺小さな身体は吹き飛ばされそうになるのだが、ぐっと力を込めて耐え続けるのだ。



           ♢



 バリアに込めた反発の意思は、まだまだ、しっかりと魔物の攻撃を跳ね返している。魔物と俺の根比べは、かわるがわる襲いかかる魔物たちをもってしても、相当な負担になっているようだ。

 

 まぁ、1人で耐え続ける俺の方が、明らかに厳しい状況には間違いないのだけど……。


 でも、負けられないのだ!



           ♢



 どのくらいの時間耐え続けていただろうか……



 そろそろ、俺の脚の踏ん張りが効かなくなってきた……。

 バリアはなんとか維持することができても、その場から身体ごと飛ばされてしまえば、また前のようにやりたい放題、魔物たちの暴力に襲われてしまう。絶対に力を緩める事はできない。



( まだだっ! まだ負けるなっ! )


 

 体幹に力をこめて、気合いを入れ直す。

 

 すると、一番後ろでじっとしていた、白い毛並みの魔物の遠吠えが響いた途端、魔物達が動きを止めたのだ。

 

 いい加減、諦めててくれたねだろうか。



 白い毛並みで一番身体の大きな魔物、おそらくこの群れのボスだと思われる魔物を先頭に、息を荒くした魔物達はゆっくり身体の向きを変えた。


 ボス以外の魔物たちは、何度も恨めしそうに振り返りながら、俺の視界から消えていく。最後の一頭までダンジョンの暗闇に消えていったところで、俺はやっと深く息を吐き出した。



 なんとかなった……。良かった……。



「よっしゃ〜っ! 我慢比べに勝ったぞ〜っ!!」



 魔物達の姿が見えなくなり、叫んだ声がダンジョンに響いた瞬間、俺の緊張の糸がプツンと切れた。 その途端に、とんでもない激しい頭痛と吐き気が俺を襲ってきたのだった。


 普段から感じている頭痛の比ではない。

 ガンガンと頭全体を何か固い棒ででも叩かれているかのようだ……。



 これは、キツい……キツすぎる。


 俺はその場にうずくまり、しばらく動くこともできなくなっていた。





 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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