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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
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いじめられっ子、脱出を目指す


           ♢



 暗いダンジョンの中、俺は軋む身体に鞭打って、上の階を目指して歩き出した。一歩ずつ、慎重に。



「一体、俺はどのくらい下まで落とされたのだろう……。」



 ダンジョンのどこを見ても、ゴツゴツした岩肌が剥き出しになっているばかりで目印になるようなものは何もない。しかし、何故か足元は平らな道になっている。


 また、不思議なことに、ダンジョンの中は所々に光源があるのだ。薄明るい光を放つ苔の塊がそこらに転がっており、おかげで、ダンジョンを歩くだけならば、足元を心配しなくて済んでいる。


 そんなこんなで、薄暗いダンジョンの中は、その光苔のおかげでなんとか歩けているのだが、いつどこで魔物に襲われるかと、内心びくびくしながら歩いていた。そりゃそうでしょ、ここは悪なる神の身体を封じたダンジョンなんだもの……。

 しかも、自分の覚えている大人の身体の感覚とは違い、小柄な少年は小さな歩幅は、なかなか思うように距離を進むことができていない。


 それに加えて、自分がどの辺りを歩いているのか全く検討もついていないのだ。不安を感じないわけがない。

 たしか、左手の法則だっけか? 大人だった時の頼りない知識を絞り出し、岩剥き出し状態のダンジョンを彷徨い歩いていた。


 実際には、ここはダンジョンなどと呼ばれてはいるが、迷路になっているわけではないようだ。左手の法則も、意味がなさそうなので、続けるのをあっさりやめた。

 途中、何度かの分かれ道はあったが、とりあえず左側を選んで進み続けることにしただけだ。



 トボトボとダンジョンを歩きながら、「意外と魔物に会わないもんだな」、なんて思っていたら、先程、思い切り俺の身体を振り回してくれた、狼のような魔物の集団に再びお会いしてしまった……。

 

 こういうのをフラグを立てると言うのかね……。



 しかし、いずれ魔物には出会う覚悟はしていたのだ。

 ダンジョンでは、深い階ほど強い魔物がいるといわれている。最深部に封印されている、悪なる神の身体に近ければ近いほど、悪なる神の影響力が強くなる影響のせいだそうだ。


 という事はだ。出口を目指し、上の階へと進む俺にとっては、出会う魔物は徐々に弱くなっていくはず。この狼のような魔物より強い魔物は出てこない事になる。こいつらの攻撃を凌いで、退けることができれば、きっとこの後に出会う魔物には充分対処できる……はずだ!



 最後に俺を投げ飛ばした白い毛並みの魔物は、群れの一番奥でこちらをじっと睨みつけている。他の魔物たちは、もうすでに俺に飛び掛かろうと身構えていた。


( さっきだって耐え切ったんだ。バリアの意味を理解した俺に耐えられないわけがない! )


 俺は俺の才能を駆使して、なんとしても魔物たちの暴力に絶対に耐え切ってみせるさ。


 アンチバリアには、反発の意思をたっぷりと込めた。魔物たちの攻撃を最後まで耐え続ける覚悟をきめて、目の前の魔物たちに向かって身構えた。



 さぁ、さっき、散々振り回してくれたリベンジだ! かかってきやがれ!




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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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