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いじめられっ子、世にはばかる 〜英雄に憧れて〜  作者: 十三夜
第1章 ひとりぼっちの少年
10/454

いじめられっ子、才能を理解する

           

            ♢



 この世に生まれた者には、3つの才能が与えられると言われている


 生まれた時点に一つ。これは前世の行いが影響すると言われる――



            ♢



 俺に与えられた、『アンチ』という才能について、前世での行いが影響しているというのであれば、さっき思い出した俺の記憶が関係しているのだろう。


 前世では、散々っぱら会社でイジメられていた俺だから、その心には、限界まで辛い思いをしたことによって、耐えきれないようなダメージがあったのだろう。


 それ故に、今の俺は他人を拒絶する事を願った。


 魔物の牙でさえ通さない程の拒絶する能力。



 そうだよ、大人だった時の知識を借りて見れば、アンチ=反対、対抗、という意味だとわかる。

 つまり、俺は、自分を傷つけられることを嫌がり、全ての対象を拒絶することによって、自分自身を守る道を選んだということだ。



 全てを拒絶する才能――



 自分を害する脅威のすべてを排除する力――



 言ってしまえば、バリアみたいなもんか?

 そう都合の良い事を思い浮かべて、自分の手足をよく見てみる。


 ジッと目を凝らすと、こう、膜のような? 薄い壁のような? そんなものが見える気がしないでもない……。 いや、見える!

 

 自分に与えられた、『アンチ』という才能の意味を朧げながらも理解した途端、自分のまわりにある「バリア=他を拒絶する力」を認識できたのだ。



 これが、僕の才能。『アンチ』――



 いや、それにしても、僕は全てを拒絶してしまいたいくらいに、職場でのイジメに傷ついていたのか……。


 自分がそこまで追い詰められていたという事に、自分自身では気付けなくなる程に、すでに心は麻痺してしまっていたのかな……



 でも、そうだよ。


 イジメなんて簡単な言葉で表現してしまうと、イジメというその行為自体が、大した事などない、軽い事象に感じられてしまう。

 イジメている人間が、罪を感じない程度に軽く感じてしまう言葉で表現しちゃダメなんだよ……。



 イジメられた人間は、イジメている人間が気づかない程に追い詰められているんだ……。

 


 イジメは犯罪。人の心を、尊厳を殺す凶悪犯罪だ――



           ♢


 

 落ちついて、現在の俺が置かれている状況を整理してみた。


 かなり打撲は痛いが、身体は無事だ。

 自分に授けられた才能は、とんでもない高さからの落下の衝撃にも耐えられるほどに強力なわけだ。

 しかし、自分が今、ダンジョンのどの辺りに居るのかは、全く見当はつかない。


 そう。まったく安心できる状況ではない。


 新しい身体になっていても、盛大にイジメられてるなんて、とんでもなく悲しくて酷いよな。そんな悪意を感じるような輪廻に絶望しそうになる。

 だけど、新しい人生を生きるチャンスを貰えたんだ。そして、授けられた謎の才能についても理解ですることができた。


 せっかく貰えたチャンスを、また放り出してどうする?


 どっかの先生が言っていただろ? 諦めたらそこで試合終了だと。

 新しい人生はこれからだ! 才能を活かして、ダンジョンから生還してみせる!!


 いじめられっ子からも必ず脱出してみせる!!


 

 だから……だからさ……、まずはやれる事を全部やって、生きてダンジョンから帰らなきゃ!!

 


 

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拙い文章ですが、読んでいただいている皆さんに感謝です。楽しんでいただければ幸いです。
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