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猫の寝床とメイド

宿屋の中に入るとそこには沢山の猫の置物があった。確かにこれは猫の寝床というだけのものはある。


それに本物の猫もちゃんといて、たまにどれが本物の猫なのか分からないぐらいにいたるところに置物と猫が……


「す、すごいですね…」

「この宿屋を始めた当初は飼っていた猫だけだったんですけどね。それがいつの間にかここで宿泊していったお客様が猫の置物を置いていくことが増えまして……そしたらこんな風に」


それが先祖代々受け継がれてきた。

確かに古い置物もある。それは簡単に猫とは別と判断出来るけど新しいものだとどっちがどっちなのか分からない。


「でも、素敵な宿屋ですね」

「ありがとうございます。しかし最近ではこんな風な宿屋は流行らないみたいでお客様も減ってきていたので、それを見かねた息子がこうやってお客様を連れてくるようになりまして、この度は息子がご迷惑を……」


「いえいえ!!私としてはすぐに宿屋を見つけられましたし、こんな素敵な宿屋なら大歓迎です!!!!」

「ありがとうございます。

そういえば紹介がまだでしたね。この猫の寝床を主人しておりますフォールドといいます」


私も自分の名前を言いながら、会話していて分かった。

この優しそうなお父さんと、気の強いお母さん。カルドは間違いなくは間違いなくこの2人の子供なんだなーって。


ここまでハッキリと分かりやすい家族も珍しいなーと思っていると


「スゲェだろこの宿屋。シズクちゃんなら気に入るだろうーって思ったから案内したんだ」

「はい。とても気に入りました!」


「だろう!!」

「だろうじゃないよ!もう少し説明としな!!」


「見たほうが早いだろうが!!

大体説明しても猫屋敷ってイメージしか付かなくて客が呼べねえから俺がこうして……」

「お客様!!と呼びなッ!!!!」


……この2人は毎回こうなのだろうか。

流石に3回目となるとちょっとうんざりしてくるのだけど……


「二人共やめなさい。お客様の前ですよ」

「わ、わりぃオヤジ……」

「ごめんなさい、アナタ……」


で、この中で一番強いのはお父さんということも分かった。

本当に分かりやすい親子だ。


「すみません。お見苦しいところを……」

「いえいえ。温かい家庭で羨ましいです」


「ありがとうございます。

それでもシズク様、こちらには何泊の予定でしょうか??」


そうだ。私はここに就職しにきたのだ。

ついつい温かい感じに飲まれていたけどやることをやらないとお金なんてあっという間なくなる。


「ちなみに一泊の料金は……」

「一番安い部屋で4500ギル、普通でしたら7500ギルの、高い部屋で10000ギルとなります」


一番安い部屋。確かに値段としては魅力的だが


「その一番安い部屋というのは」

「広さはもちろん狭く、ベットも硬いですし、なにより日当たりが悪くですね」


ですよねーってなるぐらいの部屋だ。

となるとここは普通の部屋にすべきだろう。

それでもいまの所持金だと……一週間もここには入れないだろう。出来るだけ食費を押さえれば10日はいけるけど………


「普通の部屋でお願いします」

「分かりました。食事は夜の分と含まれてますので」


「それは助かります!!」

「ちなみプラス1000ギルで朝食も」

「それもお願いします!!」


朝ご飯は本当大切だ。

これは食べるか食べないかで1日の動きが劇的に変わる。1000ギル注ぎ込んでもなんの支障もない。


「珍しいなー朝食は食べるタイプなんだなシズクちゃんは」

「朝食を食べないと1日働けませんから」


「しっかりしたメイドさんだねー

で、何泊していくんだ??」

「一応一週間を予定にしてます」


「そんなにいるのか??

てっきり明日に出ていくもんかと……って、イテッ!!!」


「人様の事情に首を突っ込むじゃないよ!!」

「殴らなくてもいいだろうがッ!!!」


……いや、本当にもうその喧嘩をやめてほしい。

だんだん見るだけでも疲れてきた。


「では部屋にご案内しましょう」

「……手慣れてますね……」

「いつものことですから」


ならそうなりますよね。とご苦労様ですと心で労うことにした。


案内されたのは本当に普通の部屋。ではなかった。2階の部屋だったのだけどやっぱり猫の寝床というだけはある。この部屋にも猫の置物があり、それでも寝床として邪魔にはならない。


「この部屋、いいですね」

「そういってもらえて嬉しいです。夕飯は1時間後ぐらいになりますのでそれまでごゆっくり」


ここでやっと荷物を下ろして休める。

でもまずは………


「これが…メイドの性……ね」


その後、一階で夕飯の手伝いをしていたカルドの耳にガシャンガシャンと何か響く音が聞こえたという。

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