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ガガとドドとカルドとメイド

鉱物は鍛冶屋には不可欠な物。

その鉱物が取れるのは洞窟の中。

そしてその洞窟のほとんどは魔物の住処になっていることが多いのだ。


そこに私が行って、鉱物を取ってくる……


「……私、冒険者じゃないですよ……」

「んなもん分かってる。おいガガ」

「はい!!」


ドドさんに呼ばれた少年。私と同じくらいの年齢だと思われるガガ君はちょっと緊張した感じでドドさんの前に立った。


「ガガ、この嬢ちゃんと一緒に行って"高度鉄"と"高度銀"を取ってこい。

嬢ちゃん、これぐらい出来ないようじゃここには置けねよ。ダメならさっさと帰りな」


その顔は完全に私をバカにしている。

………ほう。いいでしょう。やってやりますよ。


「分かりました。でもちゃんと取ってきた際には元々の仕事をやらせてください」

「取ってこれたなら。だかな。ガガ、魔物以外の出だしは一切するな。いいな??」


「分かりました!!」


本当に腹が立つ。このドドという人は私を、メイドをバカにしている。

確かに私はダメなメイド。ダメイドかもしれないけど、私を基準にメイドをバカにするのはやめてもらいたい。


この人に認めてもらいましょう。

メイドがどれだけ素敵な職業だということを!


洞窟に、魔物がいるだろう洞窟にいくためある程度の装備が必要になる。

いまから向かう洞窟は1日あれば余裕で帰ってこられる洞窟。それでも万が一というために1日分の食料と魔物と戦うための武具。

そして一度だけ魔物を追い払う事の出来る魔法丸。


その球体には魔物を遠ざける効能のある音と光が飛び出す仕組みが球体に閉じ込められている魔法。

なかなか手に入れる事のできないものなので、ドドさんはガガさんにくれぐれも滅多なことで使うなと釘を指していた。


私が食料の入ったバックを持ち、ガガさんが武具と魔法丸を持ち私達は洞窟へと向かうことになった。


「ゴメンね。ドドさん人の話を聞いてくれない頑固親父気質だから……」

「苦労してますね。私、あの人嫌いです」


「は、ハッキリいうね……」

「でも仕事ですから。そこは切り分けます。

ガガさんもそうだからこの仕事をやっているんですよね??」


どことなくガガさんは職人気質というものを感じた。私が鍛冶屋に入った時にも誰もが私の方を見ている中でも1人一所懸命仕事をしていたガガさん。

ドドさんが話しかけるまで私が来ている事さえも気づいていなかったみたい。


「僕にはこれしかないから……」

「分かります。私もメイドしかありませんから」


「……家事、出来ないんだよね??」

「出来なくても心意気はメイドです」


苦笑いをするガガさん。

なんか変なことを言ったかな。


「ドドさんは親方の1番弟子なんです。

だからドドさんも鍛冶しか知りませんし、人との接し方も苦手なんです」


「いや、あれは苦手という類じゃない」


「それでも体調の悪い親方に代わって頑張ってるんです。それが空回りしていると分かっててもやるしかない。って僕には見えます……」


……そう言われてもあの発言が許されるわけじゃない。まぁ、少しは…、って気持ちはあるけどさ……


「まぁ、私は私の仕事が出来ればそれでいいよ。って、なんかタメ口になっているけどいいよね?」

「だね。僕もそうさせてもらうよ」


そんなことを話しながら門までくるとカルドさんが頑張って仕事をしているのが見えた。

挨拶ぐらい、していこうと思い「おつかれさまです」と軽く言って門をくぐったところでいきなり手を掴まれた。もちろんカルドさんだ。


「何してんだシズクちゃん!!」

「いや、いまから鉱物採取をしに洞窟に」


「はぁ!!?何いってんだ!!!

あんな所にシズクちゃんがいくところじゃねえだろうがッッ!!!」


言いたいことは分かるけど、ここ、外の人達を検査する場所だからめっちゃこちらを見てくる。やめて、恥ずかしい……

とにかく少しこの場から離れてカルドさんにこれまでの経緯を説明すると


「……何考えてんだあの頑固親父が……シズクちゃん、こんなことしなくても他の仕事があるから洞窟なんていかなくてもいいぜ」


「いえ。あの人、メイドをバカにしたんです。私はともかくメイドをバカにしたのは許せません!!」


「シズクちゃんのメイド愛はスゴイと思うけどよ……」


頭を抱えるカルドさん。

カルドさんには悪いけどあの人に鉱物を持ち帰り悔しそうな表情を見ないと気が収まらない。


「大丈夫ですよ。魔法丸というのを持ってますから」

「……けどよ……」


「僕は一応B級冒険者ですから大丈夫です」

「……まぁ、ここ一帯はD級程度しかいないからな……」


さっきからいっている「級」というのは強さの値であり、上がSSとなり下がEとなっている。

ガガさんはB級というなら問題なく外に出ても大丈夫。


ちなみに私が持っているお守りはC級までの魔物なら寄ってこないやつなので安心して外に出てここまでこれたのだ。

ここに来たとき、カルドさんは私がそのお守りを持っていることに驚いていたなーかなりの高価なものらしい。すぐにママから預かりものと誤魔化したけど……


「シズクちゃんにはアレがあって、そっちも外に出ても大丈夫。止める理由がねえか……」


「鉱物を取りにいくだけですから魔物を見ても向こうが来ない限りは避けていきます」


「………わかったよ。でも無理だけはするなよ」

「はい!」


カルドさんの許可をもらい門の外に出た私達は目的の洞窟へ向かうことにした。


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