あなたへの愛によって 隣人を自分のように愛します
A.M. 01:47
どこか苦いものを口に含んだように、喉の奥が疼いている。
閉め切ったカーテンの隙間から差し込む光が街灯になったことが時間経過を示していた。
-通り過ぎていく人々はスケッチブック、カラフルな絵が描かれて、僕の視線を塞いでいく-
眠れない、ということに意味があるように感じている。
昼には昼の、夜には夜の俺や僕が起きていて、勝手気ままに時間を過ごしているから、こうして起きていることは必要なんだと思っている。
そのうち眠くなるだろうと、その辺に散らばったメモを集め始める。
部屋の中で定点観測のよう記したメモは頭の中のようで、歩いているうちに整理されていく。
集めたメモをまとめようとパソコンを開く。ついでにSNSも開く。
大衆からの評価は良くも悪くも大切で、注目されてその方向を上手く掴んで操って。
いけると思っていた。
どうすればいいのか、ずっと見えていたから。
誰よりも彼女に愛されていると根拠もなく信じていた。
だけど、いつの頃からか彼女が見えなくなり、声が聞こえなくなり、温かさが感じられなくなっていた。凍えすぎて、痛みを感じなくなって。時の重みと情という鎖で、軽やかに、飛べなくなっていた。
そして、「それ」に気が付いた時には、もう遅かった。
時間空費による反則負け。故意ではないと抗議したくとも訴える先は人の話を聞いてくれなかった。全て「幻」だと。抱きしめていた光は全て「幻覚」だと、決めつけられた。
-あわれしる空はなくなき時雨とき いづれの日まで欺かん-
眠れない夜は、どこかに繋がりを求めてしまう。
喉を通りすぎてくれない言葉の刃で傷つけあっていても、誰かがいるのがわかるから。
そうやって割り切れなかったのは、怖かったから。
作り出した仮初のスターをひっぺ剝がされ、転がされ、罵倒され、すべてを失うのが怖かった。
本当は、とうのむかしに「彼女」に見放されていたことは、わかっていた。
視界の端に、手に入れた彼女の欠片が映っていた。