始まらなかった物語
【プロット】
連載時の設定
・モデルは実在かつモデルが公開している日記やXの投稿から話を組み立てること。
・リアルタイムで組み上げていくリアルタイムホラーの予定だった。
想定読者
・モデル本人およびその取り巻き
読後感と題材を選んだ理由
・ご本人の公表された文書をこのように構成される危険性の提起。
書き方
・地の文はモデルの日記とX投稿、著作ベース。
・詩はモデルが書いた詩集ベース。
・歌詞はモデルの年齢を仮定して、例えば40歳程度の時の音楽なら、などを女性モデルの音楽と組み合わせることで、気持ち悪さを出した。
最終回までのプロット(実際にはリアルタイムで変えていくため、骨子だけ作って小道具はモデルの投稿から拾っていく予定だった)
地に落ちた名声を取り返し始めてはいるが、まだまだ道半ばでもがいていた老音楽家。身から出た錆とはいえ、50もすぎて警察に10年以上一緒に過ごした若い不倫相手と麻薬の使用で捕まったこと、今まで作ったラブソングに自ら泥を塗る行為の代償は、社会からの総スカン。そんな絶望とこのまま終われないという意思だけで動いていたが、さらに執行猶予中に麻薬の所持を疑われて、配偶者に去られてしまう。
仕事と子どもにしか存在意義を見失い、コールタールに全身が埋まる世界の中、たまたま流れていたドラマの主題歌に心惹かれ、そして、その彼女の音楽と同じような感覚を覚える【女神様】の石を手に入れたことで、彼の心の一番弱い部分に僅かに火が灯る。
デビューからずっと、まるで【女神様】に愛されたように、計算したことが当たり続け、幸運に恵まれ続けた彼は、いつしか、周りの人の声に耳を貸さなくなっていた。
「僕は僕に会いたいという人を拒まない」
そう言いながら、彼は冷徹に自分の得になる人にしか決して会わない。香港からのファンがたまたま彼とすれ違ってもサインなどは一切しない。香港からきた著名人とは写真を撮るにも関わらず。
彼は人の価値を金と著名人、自分に得になるかでしか判断しない。そこまで冷徹だったからこそ、計算通りに著名人になった。名声が落ちる前、彼はファンサしないことで有名な著名人のひとりだった。
そして【天罰】が下る。日本の司法は甘くなかった。彼は拘束され、彼の母は死んだ。マスコミは真実なのか不明な情報を流し、世間は彼に石を投げた。【女神様】の幸運を私利私欲のために使い、感謝を忘れたエゴイストには当然の報い。
それでも日記や著作、X投稿などで主張をやめないこの色と快楽に狂った音楽家に興味を持ったアカウントが近づいてくる。「あなたはなんだ」と。アカウントはこの音楽家のより醜い側面を暴こうと痛いところばかりをついてくる。どれだけミュートしてもアカウントを作って追いかけてくる。
いつまでも粘つくような【罪】。温かな【女神様】の石を抱きしめて、彼女の少し乾いた感じのする伸びやかなパレットの色を心に乗せてはやり過ごす日々。暗い視界では、彼女の鮮やかなパレットがいっそ崖や断罪に思えてしまう、そんな毎日。
執拗なアカウントに反論する力も尽きる頃、ただ受け入れた世界において、逮捕時と同じ虚しさ、悔しさのあまり、夜明け前、彼は【女神様】の石を投げて、割ってしまう。
その砕けた石の中から柘榴色の石と、透き通った水色の石が溢れ落ちた。
僅かに日が明ける中、砕けた石を、自分のそれでも壊れなかったもの、音楽を作ることを諦めなかったことをもう一度思い出し、新しい音楽を作る。
今度はどちらの音楽に寄せたものではなく、自分の感謝の音楽として、どん底まで落ちたあとに作った悔しさや悲しみ、それでも歩くのではなく、この世界と音楽が作れることに感謝した音楽を作った。
最期の場面は、女性モデルが、育児中に流しているラジオに、老音楽家のこの音楽が流れる場面。
「いい歌だね」
と子どもに話しかける場面でおわる。




