お茶会のお開き
2話連続です
パン!と手を鳴らして、ほかの貴婦人たちの注目も集める。
「みなさまも、今日のことは内緒にしてくださいませね?そろそろお開きにしたいと思います。」
この場で私に次いで位の高いアリスがそっと礼をして、それを合図に各々帰りの馬車へ乗っていく。
1度目のお茶会はとりあえず成功とみていいだろう。控えている女官たちに片付けの指示をして踵を返そうとしたその時。
「やあ、お茶会はどうだった?オフィーリア」
皇太子ガゼルはよく分からない笑みを張りつけてそこに居た。
「ガゼルさま、いらっしゃるなら事前に仰ってくださいませ」
負けじと微笑みながら苦言を呈してみるも、ガゼルの仮面は壊れそうもない。
殴ってやりたい。
その衝動を我慢して、握りこんだ手のひらに爪をキツくたてた。
「……いけないよ、オフィーリア。手から血が出てるじゃないか。それに、僕が君に会いに来ることに何も理由なんかいらないだろう?僕と君は夫婦なのだし」
ね、と同意を求められて、そういう話ではないと声を荒らげてしまいそうになる。押し殺して、押し殺して、やっと一言、そうですわね、とだけ返した。
腸が煮えくり返りそうだ。
私を殺した男が、夫婦だなんだと抜かしている。ああ許せない、私が殺してやりたい。
でも、まだだめ。
私の血にこの国を継ぐだけの正当性はない。だからこの男の子を孕まなければならない。なんて屈辱だろうか。
それでも仕方がないのだ。それがこの男はきっと1番嫌いだから。
「オフィーリア、今日の夜に君の部屋に行くよ」
そう言うガゼルの顔は相変わらず変化は無い。
────なんて腹立たしいのかしら。
そう思った自分を宥めて、必死に落ち着く。ここで反抗することは悪手だ。
「お待ちしておりますわ、ガゼル殿下」