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廃后オフィーリアの復讐  作者: 寝パン
1/8

廃后オフィーリア

「オフィーリア・ド・トリアノン皇后をただいまを以て廃后し───」

「側妃・プリメラ・カンツィーネの殺人未遂容疑で処刑する」

夫である陛下の声が低く低く響く。

断頭台の目の前まで乱暴な手つきで連れてこられ、雑に手首をまとめあげられた。

ちらとプリメラの方を見ると、娼婦のような微笑みでこちらを見下している。

ああ、こんなことなら、私はあの子を侍女になんてしなかったのに。

処刑人の男が最後に何か言うことは無いかと聞いてきた。

「そうね……」

今更何を弁明しようと、泣き叫ぼうと何もかも無駄ならばと口を開く。

「わたくしなら、もっとうまく殺しますけれど、ね」

鈍く光る刃が落ちてきて、そこで私の意識は途切れた。


「オフィーリアさま、オフィーリアさま!朝でございますよ、起きてくださいませ」

聞きなれた侍女の声に違和感を覚えてゆっくりと目を開ける。首と共に体から離れたはずの視界は鮮明に朝の景色を映している。

「朝……?」

「朝……?ではございません!今日は隣国のガゼル皇太子殿下との結婚式でございましょう?支度を致しますから、早く起きてくださいませ!」

声の主を見上げると、わたくしの処刑の2年前には持病の悪化で死んでいたはずの侍女、マーサがそこに居た。

「マーサ……?」

「はい!マーサでございますよ!おかしな姫さま!」

そこでハッとする。マーサが生きているし、今日がガゼルとの結婚式なら。

今はわたくしの処刑より10年遡っているということで、わたくしは16歳だ。

夢か現か、誰の仕業かは知らない。

けれどこれはいい機会だ。わたくしの言うことを信じなかった、愚かなガゼル。侍女でありながらガゼルの寝室に忍び込んだ、恥知らずなプリメラ。

あのふたりに報復する。

これはわたくしの戦い。貶められたわたくしの報復。

「ふふ、ごめんなさい。じゃあ支度を手伝って頂戴」

ガゼルもプリメラも、私を貶めた全てを殺し尽くすまで、私は復讐をする。

たった今、そう決めたの。

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